「ショーシャンクの空に」を観て

 


今日、NHKBSで放映されてたので
「ショーシャンクの空に」を観ました。

何度観ても良い映画です。

1994年公開のアメリカ映画
初見ではなくて以前にも観たことがあるけどもっと昔の映画かと思ってた。。。
以下、ネタバレです。

ティム・ロビンス演じるアンディと
モーガン・フリーマン演じるレッドを中心に
いつしか交わされる信頼と友情

過酷な刑務所の中での日々においても
「必死に生きるか、必死に死ぬか」を
人知れずに実践し続けていたことが終盤になって明かされる。

hope 

希望

あまりの辛さに希望を否定してきたレッドが
最後、繰返し自身につぶやく言葉が「I hope …」
希望という名詞ではなくて希望するという動詞をつぶやきながら
美しく青く輝く太平洋を背景についにレッドはアンディと再会を果たす。

原題は、「 The Shawshank Redemption 」
Redemptionとは、償還という意味なんだそうです。
「罪を贖う」という意味と同時に、
債券などの「満期償還」や「買戻し」「回収」という意味をもつそうです。

出演した俳優たちの演技も素晴らしいけれど
脚本が何よりも素晴らしい。
アンディの脱獄が判明した後で種明かしされる一連のシーンの意味

結末を知ってから観ると一段と深い意味があるセリフの数々
たとえば図書室でレッドに対して囁いた
「外では真面目だったのに無実の罪で刑務所に入って悪党になった」とか
新たに仲間になり、後で殺されてしまったトミーに対して
アンディの言うセリフ
「盗みはやめろよ」
「才能がないからつかまるんだ」
思わずニヤッとしてしまいました。
(自分は才能があると言っている…)

その時既にアンディは
地道に巧妙に壁の穴掘りと不正蓄財の証拠作成を人知れず行っていたわけで…

その才能たるや脱帽もの緻密な計画と実践
常に危険と背中合わせのまさしく「必死に生きる」日々だったに違いない。
そんなことは、おくびにも出さず。

だからこそ、文字通りの「必死に生きる」

アンディがアンディたりえる
有能な銀行員としての才覚と能力と
趣味としての地質や岩石への興味とが
刑務所の過酷な日々を助け
将来の脱獄と償還(復讐ではなく)を助ける

かつて親しんだ本や音楽が
それらの体験そのものが自分自身の核となるものを支えてくれる

1994年に公開されたこの映画は
人々への応援歌

自分が自分である方法で
過酷な日々を生き残り、同時に、打開する希望

刑務所の壁が世間と刑務所を隔てるだけでなく
刑務所という特別の世界で
「適応」したものを世間への「再適応」から隔て、
かつ、特別の世界に自ら従順となることを要求する。

仮釈放という壁のあちらとこちらを
今までとは異なる場所から再体験しその葛藤のすさまじさが伝わってくる。

ブルックスは必死に死んだ

そのことを知ったアンディ達は彼へのオマージュとして、
刑務所内に改築された図書室に「ブルックス・ヘイトレン」の名を掲げる。

アンディに影響を受けてレッドもいつの間にか変わっていく
映画では10年ごとに行われた仮釈放の審査場面
周囲の状況も少しずつ変わっていることが短い映像から示唆されるが
アンディの態度がまったく違う。

自分が自分であることの誇りを取り戻している。
でも、それは、環境にも影響される。

仮釈放で与えられる仕事と住居
レッドの上司は冷たい人間ではないことも示唆されるが
人はパンのみで生きているわけではない

レッドをギリギリの場で必死に生きる方向へと舵を切らせ支えたのは
アンディと交わした言葉と信頼とお金だった。

この話は刑務所の中でだけ起こることではない。
特別な世界は、今もどこにでもある。

堅牢な壁は、今もむしろ巧妙な作りで厳然とある。

現場で役立つ認知症研修会

2022年3月9日(水)20:00〜20:40に
Zoomでオンラインの勉強会を開催いたします。

テーマは
「現場で役立つ認知症研修会〜観察力を磨く」
 その1:知識と観察を結びつける

参加費:無料

対 象:認知症のある方に本当に役立ちたいと考えている方であれば
    どの職種の方でもどの地域にお勤めお住まいの方でも参加できます。
    (学生も可)

内 容:認知症の知識の普及啓発は進んできましたが
    現場では知っているはずの知識を活用した観察が十分になされているとは
    言い難い現状もあり、とてももったいないと感じています。
    実際の現場で役立つ知識にどんなものがあるのか
    どんな風な現れ方をするのか
    どこに気をつけたら見落とさずに済むのか
    それらをもとにした対応の工夫はどうしたら良いのか
    実際のケースに基づいてわかりやすくお伝えします。

定 員:先着20名

申込締切:2022年2月28日(月)17時
     定員超過時点で締切ます。ご了承ください。

申込・お問い合わせ:
    下記のフォーマットから、お申込ください。
    https://forms.gle/mtznkMC3zF11aWD66 申込受付終了しました。

    追加でお申込を受け付けていますが
    1月末日で、追加募集を締切ます。
    参加ご希望の方は必ず期日までに

    こちらのフォーマットからお申込ください。
    https://forms.gle/1naE84edaHHg2zAm9

    お申込は締切ました。

    お問い合わせは、当サイトのこちらにどうぞ。

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ここからは
もう少し、ぶっちゃけて。

今のところ、内容として考えていることは。。。
アルツハイマー型認知症のよくある状態像の説明とその対応
例えば
・近時記憶と短期記憶の違い
・動作干渉で忘れてしまう
・再生できなくても再認できることは多い
それらを踏まえて、どう対応の工夫を考えるのか?ということです。

現場では
「認知症のある方に寄り添ったケア」という高い理念が掲げられ
一方で働くスタッフは気概はあっても知識と技術が足りなくて
見れども観えずで、観察できていない。
目の前で起こっていることに反映されている障害も能力を十分に洞察できない。
「今何が認知症のある方に起こっているのかわからない」
そしてそのことに自覚がない。。。善意を持っているからこそ。
ということが起こっています。

その現れが
目の前にいる認知症のある方に
今何が起こっているのか把握しようとする
のではなくて
「〇〇という時には△△する」という
ハウツーの当てはめであり
「〇〇という人がいるんですけど、どうしたら良いでしょうか?」という
ハウツーを求める在り方だと感じています。

このような臨床姿勢は作業療法士も同様です。
全国各地でさまざまなテーマで講演をしてきました。
そこで必ず評価の重要性を説いているにもかかわらず
講演後の質疑応答の時間に
「〇〇という人がいるんですけど、どうしたら良いでしょうか?」という
質問が出てきます。
また、多くの作業療法士が認知症のある方にHDS-RやMMSEをとっても
とった結果を踏まえて、声かけの頻度や内容に工夫していないという現状もあります。
それでいて「言動を否定しない」「なじみの関係づくり」などと言っています。
つまり、評価と治療・対応が乖離している。
より的確な対応ができるための、評価、検査ではなく
単に為すべきこととして、HDS-RやMMSEをしているに過ぎないのです。

そして、それは実習や新人時代に周囲の先達たる人から
検査とは何ぞや
評価とは何ぞや
評価を踏まえた治療とは何ぞや
オーダーメイドの対応の工夫とは何ぞや
ということを身をもって教えてもらってきていないからだと考えています。

「認知症のある方に寄り添ったケア」という高い理念と
ハウツーの当てはめという実践の狭間にあって
援助を受ける認知症のある方は
理念と真逆の実践に葛藤を感じるでしょうし
援助する人も真剣な人ほど苦しい辛い思いをすることになってしまいます。

このような現状をなんとかしたいとずっと考えてきました。

2020年度に、このサイトを立ち上げ
2021年度にかけて、少しずつ構築し
2022年度は、オンライン勉強会を開催していきます。

1個人でもできる、ネットという情報発信の場を最大限活用して
認知症のある方に本当に役立つことをしたいという願いの実現に向けて
自分自身はもちろん、願いながらも迷っている困っている人たちに向けて
微力ながらも頑張っていこうと思います。

大根の葉のふりかけ

 


以前に紹介した、美味しい白飯にもピッタリなのが
大根の葉のふりかけ。

葉つき大根が売られていたら
必ず買ってきて、ふりかけを作ります。

大根の葉を洗って細かく刻んで
ごま油で炒めてしんなりしたら、しらす干しを混ぜてさらに炒めて
塩で味を整えたら完成です。

炊き立てのご飯にのせて食べても美味しいけど
マグロのすき身丼(すき身・納豆・大根の葉)にすると
さらに美味しい (^^)

ごま油は少し多めの方が香りが立ってイイ感じになります。

 

スポンジでROM


神奈川県作業療法士会の「月刊よっしーワールド」に記事投稿しました。
「スポンジでROM維持」

生活期の方の筋緊張緩和に効果があります。
ぜひ、お試しを。

ただし、作成上の注意点がありますので
ご確認ください。


足まわりのちょっとした動作介助のコツ

ちょっとした動作介助のコツとして
足に麻痺があったり、ご自身ではうまく足を動かせない方の
1)足をフットプレートにのせていただく時
2)靴下や靴を着脱する時
についてお伝えします。

1)足をフットプレートにのせていただく時

  先にアップした記事にも記載しましたが
  いきなり足をのせようと介助するのではなくて
  ・まず臀部を深くきちんと座り直す
  ・大腿の裏に片手を当て、足を持ち上げる
   (股関節を屈曲させる)
  ・この状態で膝関節を屈曲させる
  ・足関節を屈曲させながらフットプレートに足をのせる
   (足の重さは介助者が支えることで動きを引き出しやすくする)
  ・膝の上から足底に向かって軽く圧を加える
   (足をのせることを圧覚を通してインプット)

2)靴下や靴を着脱する時

  靴下や靴の着脱介助には
  単に脱がせる、履かせるという介助だけではなく
  足を空中に保持するという介助も必要です。
 
  足を空中に保持するのが難しい方だということが
  わかっているようでわかっていないと着脱が一層大変になってしまいます。

  そのような場合は、
  介助する人の大腿に足をのせてから動作を介助すると
  介助者の両手を使って介助することができるようになります。
  (足の保持は大腿、動作介助は両手と分けて同時に介助する)

姿勢修正時にはまず骨盤を確認

ごく基本的なことですが
基本的なことだからこそ、忘れられてしまいがちなことの一つです。

車椅子に座っている方のお身体が傾いている時に
クッションを当てる対応はありがちですけど
その前に必ず骨盤の状態確認をします。

骨盤の位置がズレていることって結構あります。

骨盤が傾いていれば、その上の体幹だって傾いてしまいます。
まず、骨盤を左右対称に、前方にすべっていれば奥深くまで
座り直していただきます。

ポジショニングについては、こちらをご参照ください。

足をフットプレートにのせていただく時にも同様です。
骨盤が前方にすべっている状態では
足をフットプレートにのせ続けるのは難しいものです。

足がフットプレートにのっていない状態で
移動介助をするのは、とても危険です。
足指の怪我や足首の捻挫などにつながりかねません。

足をフットプレートにのせる時のちょっとしたコツは、こちらをどうぞ。

美味しいご飯の炊き方

 

きのう、偶然見ていたテレビで
美味しいご飯の炊き方を紹介していました。

テレビ朝日の「林修の今でしょ!講座」
「おさらい講座」で確認できます。

早速、今夜試してみました。

1)1回目のお水はざっと洗ってすぐ捨てる
2)優しく研ぐ
3)水は濁っていてもOK
  私は3回くらい研がずに水だけ交換しました。
4)浄水に浸して冷蔵庫で4時間
5)早炊きモードで炊飯

ほっんとうに美味しかった〜!!!
お米が甘くて、ご飯だけ食べていられます。。。
同じお米なのに全然違う。。。

しかも、大した手間がかかるわけじゃないし
ご飯があっという間に炊き上がるのも嬉しい (^^)

我が家は明日もこの炊き方をします。
美味しいご飯の炊き方を教えてくれた番組に感謝m(_ _)m

食べ過ぎには注意しないと(^^;

   

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追記:2021/12/26
この炊き方をすると、もう以前の炊き方には戻れません。
番組を参考にした私の今のやり方です。

2)優しくお米を研ぐ
  :1合につき10回、両手でお米をギュッギュと軽く握るようにするだけ
3)浄水に浸して冷蔵庫で4時間
  :朝、冷蔵庫に入れて帰宅後炊きますから、冷蔵庫での保管時間は11時間くらい

本当に美味しいです。
おかずがあると、ご飯の味がわからなくなっちゃうから
ひたすら白飯だけ食べ続けたいと思うくらいに美味しいです (^^)

作業療法の説明が難しい理由

「OTジャーナル仕事論Q&A」の補足という記事の続きです。

作業療法を説明するのが難しいには、宿命的な理由があります。

「作業」を人の行為全般と設定している以上
常に、他の職種との比較をされる宿命にあります。
機能訓練をすれば、PTとどう違うの?
ADL訓練をすれば、看護介護職員とどう違うの?
革細工をすれば、革細工の先生とどう違うの?
むしろ、個々の事柄に関しては、比較対照される他職種の方が詳しいこともあるわけで
表面的な「やること」「手段」を説明には使えないのです。

「中身」がわからないとちゃんと説明できない
というわけです。

じゃあ、中身がわかるためにはどうしたら良いか?

それは実践を積み重ねるしかありません。

「作業療法の専門性とは何か?」
「作業療法とは何か?」

考えたり、語り合ったりする人は多いけれど
そんなことをしても答えは出てきません。

答えは、自分の頭の中にも、誰かの頭の中にもありません。
答えは、自分の実践の結果として生まれるものだからです。

対象者に有益なことができたという結果を積み重ね
その過程において、何がどんな風によかったのか
何がどんな風にイマイチだったのかということを
人知れず自分自身の中で地道に抽象化・一般化して蓄積を経て
初めて答えが出てくるものだからです。

だから、経験の浅いOTが
自分の仕事なのに人に説明できないことに
もどかしい気持ちを抱いても
それは当然なんです。
焦ったり、落ち込んだりすることなく
「理想とするOT像に到達するために勉強中」とでも言っておけばいいんです。
それまでは一時的に仮として誰かの言葉を使わせてもらっても良いんです。
例えば、こちらの記事には私の考えを記載してあります。

その間
担当した対象者の方を通して
自分の関与・観察、評価・治療実践を磨くことです。

だから、ある程度の経験は必要です。
ここでいう経験は年数のことではありません。
漫然と経験年数を重ねれば、自動的に中身がついてくるというわけではありません (^^;
努力せねば。
実践の蓄積という経験が必須なんです。

もっと言うと
専門性云々よりも、まずは目の前にいる対象者の方に
少なくとも悪いことをしない
できれば良いことができるように
そのために必死になって努力する方が
作業療法の専門性を考えるよりも、よっぽど大事なことだと
私は思うんだけど。。。

私が就職して間もない頃は
本当に必死だったから、専門性なんて考える暇がなかったけどなー。

それに
対象者の立場になってみたら
誰だって、腕の良い人、優秀な人に担当してもらいたい
って思うんじゃないかな?

どんな職種だってピンキリなのは、わかりきってることだし。

誰かと抽象的総論的に語り合うことで得られるのは
「悩んでいるのは自分だけじゃない」という安心感や
気持ちの高揚などがあるでしょう。

でも、それは直接的に作業療法の専門性を考えることとは結びつかないばかりか
人によっては逆に遠回りさせることにすらなりかねません。
人は弱いものですから、時には誰かに気持ちを支えてもらうことだって必要でしょう。
語り合いたい人にはそれなりのニーズがあるのでしょう。

ただ、本当に自分が達成したいことは何なのか

そこを忘れてはいけないのだと思っています。

対象に語らせる


ADLでも、Activityでも、
視覚情報を明確に伝える
という工夫をしています。

例えば、集団での活動をする時に
座席を指定しているのですが
目印をつけて、わかりやすくしています。

例えば
「緑色の椅子に座って」
「黒いクッションの置いてある椅子にどうぞ」
「白いタオルがかかっている椅子にお掛けください」

目印で覚えられる方もいますし
例え、目印ということを忘れてしまう方であったとしても
座るべき席を案内する時にこちらも説明しやすくなりますし
認知症のある方も理解しやすくなります。

他にも例えば
トイレットペーパーも
患者さんが使用するトイレのペーパーは
必ずペーパーを出して「ここに紙がある」ことを
視覚で端的に伝えるようにしています。


特にペーパーが残り少なくなってきた時には必須です。
引っ張るところを探さなくても、考えなくてもすぐに使える
ことが大切だと考えています。

塗り絵をする時にも
人によっては、あらかじめ見本も一緒に提示します。

近時記憶が低下していると
色を塗っているうちに、「何」の色を塗っているのかを忘れてしまいます。
見本があれば、「あぁ、梨だ」とすぐにわかります。
(下の写真は、大人の塗り絵シリーズです。写実的なのがわかりやすくて良いです。)

もう一つ、私は下絵をそのままで提供することはほとんどありません。
下絵の線をなぞることで
1)線をはっきりとわかりやすくする
2)線の太細の強弱をつけることで図と地の判別をしやすくする
3)筆ペンでなぞって水墨画のような雰囲気にすると
  シンプルな下絵でも幼稚に見えない
などの効果を得ることができます。

近時記憶が低下すると
時間干渉、動作干渉によって
今、自分が何をしていたのか
どこに何があるのか
ということを忘れてしまいます。

ですが、視覚的理解力が保たれている方は
多くいらっしゃいますので
「目で見てわかる」ように
環境設定の工夫をするように心がけています。

覚えていなくても
忘れてしまっても
その場その場で「見る」ことによって
誰かに尋ねなくても
さまざまな行為を遂行することができるように。

水分摂取の促し方

水分を控える認知症のある方は大勢いらっしゃいます。

水分補給の時間帯に「飲んで」と声をかけるだけではなくて
飲みなれた飲み物や好きな飲み物を提供するだけでなくて
さらにもう一工夫。

「もうお腹いっぱいで飲めない」
と言われたら
少し時間を置きましょう。  (時間干渉)

できれば
体操したり
お話したり
何らかの行動をしてもらってから
「ちょっとひとやすみ」と言って飲み物を勧めています。  (動作干渉)

そうすると、たいてい飲めるようになります。

お腹いっぱいという満腹感の自覚と表出ができるということは
とても大切な能力の一つですので
その場で飲んでいただくことを無理強いしない方が良いと考えています。

私が普段何をしているかというと
「少し時間を置く」というのは
時間が経つと忘れてしまうという近時記憶を逆手にとって
時間干渉を活用して新鮮な気持ちで水分摂取に向き合ってもらえます。

また、何か実際に動作をしたことによって
飲みやすくもなります。
別の動作をしたことによって忘れてしまうという近時記憶の低下を逆手にとって
動作干渉を活用して新鮮な気持ちで水分摂取に向き合ってもらえます。

忙しいとどうしても
時間の余裕がなくなるだけでなく
気持ちの余裕がなくなってきますから
「今、ここで」すぐに飲んで欲しいという介助者側の気持ちが生まれてきます。

でも、「今、ここで」を優先すると
結果的にであったとしても
「あんまり飲みたくないのに、飲めと言われたから飲んだ」
「仕方ないから、相手の言うことを聞いて飲んだ」
というネガティブな感情が起こってしまいかねません。

そして、ご存知の通り、感情記憶は残るものです。
今はまだ、相手に合わせるという能力があっても
病状が進行して相手に合わせられなくなった時に
イヤイヤながら合わせて飲んだという感情記憶とエピソード記憶が想起されて
強い拒否となって現れてしまうかもしれません。

今、短期的に問題が生じなかったとしても
本当に適切な対応でないと
長期的に問題が現れる。しかも、認知症のある方がネガティブな感情を抑圧した分も相まって
もっと大きな問題となって現れる恐れがあります。

このくらいの時間帯の中で
という「幅」を考えて対応する。

その時に
相手の近時記憶の程度、時間干渉や動作干渉にどの程度影響されるのか
ということを把握した上で対応すると
今もこれからも、お互いにとってスムーズな水分摂取につながると考えています。