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OT 佐藤良枝 の
Dementia Care ゼミナール

      

私は、OT(occupational therapist) 作業療法士&バリデーションワーカーの佐藤良枝です。

認知症のある方や高齢者の暮らしの支援に長年従事してきました。
特に、認知症のある方への対応の工夫と食事介助・起居移動動作・Activity(趣味活動)が専門です。

臨床の現場で、その人に寄り添ったケアという理念に照らし合わせながら日々の暮らしの困難を軽減するための実践を積み重ねてきました。
その結果、最も重要なことは、困りごとが起こっている場面そのものの観察と洞察であるということがわかりました。

生活障害やBPSDは、周囲の人にとっても認知症のある方ご本人にとっても困りごとではありますが、同時にその困りごとという現れには、その人の能力が必ず反映されています。

結果として起こっている生活障害やBPSDという現れそのものだけを見て、表面的にそれらを改善しようとすることは、実は、反映されている能力を見過ごし修正を要求するという私たちの姿勢を意味しています。
そのため、効果が限定的だったり、その場は一見効果があったように見えても長期的には合理的な能力発揮を妨げてしまい逆効果となってしまうことが少なくありません。

どんな認知症であっても、認知症のある方の能力やその人らしさが一時的に見えなくなることはあっても、消失してしまうことは決してありません。

生活障害やBPSDという現れに反映されている能力を見出し、より合理的な能力の発揮ができるように援助することによって、認知症のある方に寄り添ったケアという理念の具現化が可能であるということが実感できるようになりました。

認知症のある方への対応のくふうについては、さまざまなハウツー的対応の展開が散見されますが、本当に必要なことは、まず目の前で起こっていることそのものを観察できることであるにもかかわらず、まだまだ不十分な現実があるのではないでしょうか。

確かに、認知症のある方の言動にはパターンがあるようにも見えますが、パターンは結果として傾向として現れるものなので、最初からパターンに当てはめて考えるような在りようは不合理ですし、「その人に寄り添ったケア」という理念とは真逆の在りようです。

安易にハウツーに頼ることなく、ピンポイントで適切な対応ができるようになるために必要なことは、まず観察です。

表面的な事象ではなくて、それらに反映されている能力と障害・困難を観察できるようになるためには、認知症という状態像を引き起こす疾患・障害の知識が必要です。

観察できるようになれば、目の前にいる認知症のある方に何が起こっているのか、ということが洞察できることを意味しています。観察・洞察ができるから、じゃあどうしたらよいのかという対応の工夫がピンポイントで具体的に浮かび上がってきます。

これらは、40年近くにわたって私が出会ってきた認知症のある方から身をもって教えていただいたことです。
認知症のある方とご家族の日々の暮らしの困りごとが少しでも少なくなることを願ってここにこのサイトを公開いたします。

        

        

「書かれた医学は過去の医学である。
 目前に悩む患者の中に
 明日の医学の教科書の中身がある」    

                        ( 沖中重雄 )

  

「事実の子たれよ。
 理論の奴隷たるなかれ。
 事実はことごとくこれを信ぜよ。
 その時には相衝突するがごとくに見ゆることあるとも、
 あえて心を痛ましむるなかれ。
 事実はついに相調和すべし。
 その宗教的なると科学的なると、
 哲学的なると事実的なるとにかかわらず、
 すべての事実はついに一大事実となりてあらわるべし。」 


     
                        ( 内村鑑三 )

 「経験をもたらすのは観察だけなのである。
  観察をしない女性が、50年あるいは60年
  病人のそばで過ごしたとしても
  決して賢い人間にはならないであろう」

                    (ナイチンゲール)

      

 

      

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