指さし・手さしをする場合はもちろん
その他の場面でも、環境としての物理的距離が
理解・認識に影響を与えることが多々ありますので
物理的距離を意識的に認識した上で対応することが必要です。
指さし・手さしの重要性については記載してありますが
その時に物理的距離を勘案することが重要です。
物理的距離がどんな風に理解・認識に影響を及ぼすのかというと。。。
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2021/07/距離:あの椅子-300x225.jpg)
例えば
上の写真で「あの緑の椅子に座ってください」と言われた時に
認知症のある方は
1)緑の椅子に注意を向ける
2)緑の椅子に向かって歩く
3)歩いている間、緑の椅子に座るということを覚えている
4)緑の椅子のところで止まって座る
という能力の発揮が求められます。
近時記憶が低下している方の場合には
歩くという動作干渉によって、「緑の椅子に座る」ということを忘れてしまいがちです。
結構、難しい指示だということがおわかりいただけましたでしょうか?
一方で
もしも下のような声かけをしたとしたら。。。
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2021/07/距離:この椅子-300x228.jpg)
認知症のある方は
1)緑の椅子を認識する
2)椅子に座る
という能力発揮が求められるだけです。
どちらが認知症のある方にとって、わかりやすい・実行しやすい声かけかは一目瞭然です。
ところが、物理的距離を勘案せずに
「あちらへどうぞ」
「あの平行棒のところでお待ちください」
などという声かけは、リハの場面でも散見されると思います。
声かけの方が不適切なのに
あちらへ行かない、平行棒のところではなくとんでもないところへ行っている
認知症のある方に対して
「どうしてあっちへ行ってくれないの?」
「どうして平行棒のところに行ってくれないの?」
と不満に思ってしまう人も少なくありません。
上記のような行動には
視覚的非影響性亢進といったような症状も反映されているのですが
それはまた別のところでご説明します。
声かけをする時には
自分と認知症のある方が
どのような場面にいるのか
前提となっている環境をきちんと分析して
視覚的理解力に与える影響を把握した上で
声をかけることが必要だと考えています。
最近のコメント