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歩行介助

 

よく見かけるのが
認知症のある方の前方に職員が立って
認知症のある方の両手を握って歩かせる歩行介助いわゆる手引き歩行ですが
こちらは、オススメしません。

オススメしない理由
 ・文字通り歩かせている
 ・認知症のある方は、進行方向を目で確認することができない
 ・介助する職員は、進行方向の安全性を確認できない
 ・介助する職員が進行方向の安全性を確認しようとすると
  認知症のある方から目を離すことになってしまう

メリットもある
 ・狭い場所で歩行介助が必要な時

歩くということは
重心を転ばない範囲で前に向かって移動させることです。
ところが、前方からの手引き歩行では
介助者が前から手を引くために
歩行者はバランスを保とうとして重心を後方へ移動させるようになります。
皮肉なことに、歩行者が前に向かって重心を移動させると手を引く意味がないので
手を引く意味が実感できるように介助者は必要以上に前に手を引くという構造がベースにあります。
そしてその構造を自覚しにくいのです。

見た目、歩いているように見えて
歩く機能としては、逆効果になってしまっている。

良かれと思っての介助が
実は阻害因子として身体の働きに関与していることになってしまいます。

しかも
介助者は善意からの行動で
なおかつ、その場では異変を察知するような事態が生じないので
介助者の自己修正もなされにくいのです。

推奨すべきは
側方からの歩行介助です。
介助者は側方に立ち、片手を持地、もう片方の手で相手の骨盤を支えます。
そして、それぞれの足への重心移動を促すように
逆ハの字型を意識するような気持ちで介助します。

これなら、介助者も歩行者も前方の状況を確認しながら歩けます。
いざ、バランスを崩してもすぐに対応可能です。
手引き歩行ではバランスを崩した時に
介助者と歩行者の距離があるためにとっさの対応が間に合わない恐れがあります。

ただし、手引き歩行にはメリットもあって
狭い場所を歩行介助で移動する時には使えます。
二人横に並んでは歩けないような場所って必ずあるものなので
そういう時には、手引き歩行のリスクを踏まえた上で介助方法を選択することがbetterな方法です。