Return to 観察に必要な知識

誤解されがちな症状

  

口唇傾向

 病状が進行すると
 なんでも口に持っていったり
 口元に近づいたものは食べようとしてしまうことを口唇傾向と言います。

 食事介助をしていると
 よく開口するので食欲旺盛と誤解されやすいので注意が必要です。
 本当に食べたくて開口しているのか
 口唇傾向なのかは、スプーン以外の例えば、
 指とかペンを口元へ近づけてみれば判断できます。

 そして
 開口が良いのではなくて、口唇傾向のある方は
 食べっぷりをよく観察して、満腹なのかどうかを
 確認しながら介助することが大切です。

 

オーラルジスキネジア

 オーラルジスキネジアとは、口腔周囲の不随意運動のことを指します。
 病状が進行した認知症のある方には、かなりの頻度でみられます。
 ところが、オーラルジスキネジアとわからないと
 「口がかゆいの?」
 「お腹が減ったの?」と誤解してしまいます。

 オーラルジスキネジアのある方の食事介助は難しいので
 ご自身のタイミングで食べられるように自力摂取を推奨します。
 自力摂取しやすいようなスプーンや食器の工夫も必要となります。

 

失 行

 失行とは、運動麻痺がないのに適切な行動ができない状態を指します。
 やろうとしても身体が思うように動いてくれないのです。
 決してやる気がないわけでもないし
 依存的なわけでもありません。

 観念運動失行:パントマイムの失行(身振りの失行)
 観念失行  :道具使用の失行
 拮抗失行  :非利き手が意思とは異なり勝手に
        利き手に非協力的・逆目的に動いてしまう

 観念失行や拮抗失行は
 認知症のある方にも現れることがよくあり
 失行という知識がないと、自分勝手・意欲低下・依存的などと誤解されがちです。

 詳細は 日本神経心理学会神経心理学的な代表的症候 
 にわかりやすく記載されています。

   ・水分拒否ではなく観念失行だったケース