その人らしさとは何か?

 


前の記事で
その人らしさとは何か?
どのような言動がその人に寄り添ったケアで
どのような言動がその人らしさを大切にしていないことなのか
ということを記載しました。

「個性を大切にしましょう」
というスローガンを大々的に張り出しているのに
発言した子どもの後に
「同じで〜す」と声をそろえて唱和させていた
という息子の小学校の授業参観の様子も記載しました。

じゃあ、私はどうするのか?
どのように考え
どのように対応するのか?
頭の片隅に置きながら
日々の実践を重ねることで
明確な言語化と実践の修正、
観察・洞察の深化を繰り返すことになったように感じます。

その人らしさとは何か?

その人らしさとは特性である。
特性とは何か?
特性とは繰り返し使ってきた行動のパターンである。

だから
特性の把握のためには行動のパターンを観る。

ご本人やご家族に
若い頃に好きだったことや趣味や仕事を尋ねる時には
どんな能力を要請される趣味・仕事だったのかを考える。
繰り返し発揮された能力を知ることになるから

聴取できない時には
現在の行動のパターンを観る
できることをどんな風に為すのか
できないことにどんな風に挑戦し、どんな風に失敗してしまうのか

行動のパターンも
状況ごとに観察する

他者への対応の仕方
職員への対応、他の患者さんへの対応
対象への取り組み方を観る
異なる場面、異なる対象への取り組み方

それらを総合すると
自然とその人の特性が浮かび上がってくる

浮かび上がってきた特性は対応に活用する

繰り返し発揮してきた行動特性の良い面を
今の状態で良い方向に発揮できるようなActivityを選択・提供する
リハの場面では、その方の他者への対応を私も同じように反映させて表現する
対象への取り組み方に応じて、難易度や対応を工夫し配慮する

そのような対応ができるようになると
その方の言動の意味がまた一段深いところでわかるようになってきました。

人によって
同じ場面・同じ対象者・同じ時間でも
得られる情報の深さや広さが異なることは当たり前のことです。

認知症があってもなくても

日々の臨床でもそうですし
講演を聴く場面でも同じです。

語るに値する意思と体験と
聴くに値する意思と体験とが
その場面の下支えとなって現れる

どれだけ、それらに触れられるのかということも人それぞれ

人は見たいように世界や他者やモノゴトを観る

その人の在りように応じて世界が現前する

その人らしさとは何か?

その人が繰り返し使ってきた行動のパターン
そこに疾患としての障害や老化としての困難も加わりますから
疾患や障害の知識がないと
あるいは疾患や障害の知識に基づいた観察・洞察ができないと
行動のパターンを見誤る
ということも起こってきます。

だから
知識は大切
概念の本質を理解するということが大切

その上で
究極的にはわからない
ということを踏まえて
「はずさない」ように接する
ことが重要なんじゃないかなとと考えています。

  


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