伝授!生活期のポジショニング(2)考え方


まずは
最も重要な、考え方・視点について、お伝えしたいと思います。

生活期にある方のポジショニングで
やっちゃいけないのに現場あるあるな考え方は
「姿勢を修正しようとする」「良い姿勢に矯正しようとする」考え方です。

生活期にある方で不良姿勢があると
その不良姿勢だけを見て
表面的に「良い姿勢」を想定して
そこから、差し引きマイナスで現状を判断して
「良い姿勢」に近づけようとする、といった考え方は
OTでもPTでも跋扈していますが
一見、短期的には良い姿勢になったように見えても
長期的には逆効果になることがとても多いものです。
(そして、設定した人はそのことに気がつけないで
 対象者の不良姿勢、変形・拘縮がどんどんひどくなるという。。。)

認知症のある方の生活障害やBPSDに対して
表面だけを見てハウツーを当てはめるような対応の弊害について
私は、あちこちで言明していますが
ポジショニングもまったく同じで、同じコトが違うカタチで現れているだけなんです。

問題を対象者の状態像のせいに限定してはいけないのです。

まず、視点・考え方を変えましょう。

そうすると、本当にすごくお身体がガチガチで変形・拘縮が強い方でも
筋緊張が緩和してお身体が柔らかくなり可動域が改善していきます。

伝授!生活期のポジショニング(1)現状


古くて新しいOTの課題って、たくさんありますが
ポジショニングもその一つだと考えています。

認知症のある方でも
歩ける方もいれば、そうでない方もいて
ベッド上のポジショニングや車椅子上のポジショニングが必要となることも
たくさんあります。

実際には、
ポジショニングに困っているOT、PTってたくさんいますよね?
だって、とんでもないポジショニングをされてきた人に
たくさん遭遇してきましたもの。
それなのに、どうしてあんまり話題にならないのか不思議です。。。

一目瞭然で車椅子上姿勢の不適合とか
車椅子上でポジショニングしてもベッド上で設定していないとか
姿勢を矯正しようとして逆効果になってるとか
一見、良い姿勢のように見えてもクッションを外すと
一気にキュッと上下肢が屈曲してしまうとか
。。。本当にあるあるでした。

クッションを外したら元通りどころか
返って強く屈曲するなんて効果がないどころか逆効果です。
それなのに、どうして疑問を抱かないんだろう?
どうして自分のやってることが悪いことなんじゃないかと心配にならないのだろう?
とずっと不思議でした。

だって、そういう方たちにポジショニングを設定すると
設定したその場から筋緊張がみるみる緩和されることもしょっちゅうでした。
ちゃんとポジショニングを設定すれば
日を重ねるごとに筋緊張が遠位の筋まで緩和していきました。

生活期・老年期には
そういう方達がたくさんいます。
ご本人のせいじゃない!
もちろん、ご本人の疾患・障害に起因する部分はあるにせよ
ひどくしてしまっているのは介助者の側、私たちの側の問題なんです。

私たちの側の問題なら、私たちが変われば良いだけです。

骨折後やCVA発症直後のポジショニングの基本は学んでも
生活期にある方の不良姿勢に対して
ちゃんと実践してきた人が少ないから
(必要性や総論・抽象論は語っても具現化してきた人が少ないから)
ちゃんと教えられる人が少ないのではないかしら?
だから、ちゃんと学ぶことができていないのではないかしら?
だから、どう考えたら良いのか、わからないのではないかしら?
今さら、「ポジショニングができない、わからない、困っている」とは言えなくて
どうしたら良いのか人知れず思い悩んでいる人も実はいるんじゃないかと思います。
違うかな?

そこで、ご提案。
ポジショニングの考え方や展開の仕方、他職種への伝達の工夫について
本当に役立つ考え方と方法論を連載記事でご説明していきます。

「科学は嘘をつかない」「科学は多数決ではない」服藤 恵三


昨日のNHK「プロジェクトX」は見応えがありました。
https://www.nhk.jp/p/ts/P1124VMJ6R/blog/bl/pjJo5qmnlv/bp/pOGLR2ZdMX/

オウム捜査を陰で支えた警視庁科学捜査研究所の研究員、服藤恵三を取り上げていました。
NHKのディレクターがこの方の著書を読んだことがきっかけとなったとのこと。

詳細は
ぜひ、11月2日(土)[総合]午前8:15〜9:00の再放送をご覧ください。

番組の最後に服藤氏が語った言葉です。
「科学は嘘をつかない
 科学は多数決ではない
 科学は自分では意志がない
 使う人によって悪いことにも良いことにも使える
 そこをどういうふうに制御するか
 というところがその人間に問われている
 真実を見れる目を持って俯瞰的に全体像を見ながら
 この位置付けがどういうものなのか
 しっかり把握してこれを使っていかなきゃいけない」

まさしくまさしく!

Xでも、多数の人がこの言葉を取り上げていました。
それだけ、本質に迫る言葉なのだと思います。
服藤さんの著書です。
https://books.bunshun.jp/articles/-/9329

関連して
「科学は嘘をつかない。でも科学者は嘘をつく」も興味深い記事でしたのでご紹介。
https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/060900083/060900002/

こちらもあるあるですよね。
都合の悪いことは無かったことにするという。。。
わからないことは判断保留し継続課題としなければならないのに
多くの人が思い込みによって勝手にストーリーを作ってしまう。。。

認知症のある方で圧倒的に多いのが
きちんとした見立てができないと
(障害や症状に関する知識がなく観察・洞察ができないと)
好き嫌いの問題に変換されてしまいがち

という問題設定の問題があります。

そのために
多くの認知症のある方とご家族の方と志ある介助者が
余分な困難を体験せざるを得ませんでした。
そして、今なお、現在進行形で起こっています。

人は、過去からの自分の体験を踏まえて
無意識に判断しているものですが
自身の体験が誤っていることだって多々あり
(もちろん正当なことだって多々ありますが)
本質的に誤っていることもあれば
科学の進歩によって過去とは違う見立てができるようになったということもあります。

だから
対人援助職は謙虚でなければいけないと思うし
本質に迫る努力を欠かしてはいけないと思うし
周囲の人が言っているから、といった言い訳で逃げてはいけないと思う。

実現の仕方や戦略はあっても
一生懸命対象者のためにしていることで
結果を出し続けていれば
必ず見て理解して取り入れてくれる人がいるものです。

OTはよく「説明して理解をしてもらう」ことを考えるけれど
本当はまず何よりも最初に「結果を出す」ことが必要なんだよね。

「科学は嘘をつかない」
「科学は多数決ではない」
「科学を扱う人の扱い方の問題」
という服藤さんの言葉は職種を超えて共感を呼び起こす言葉だと思いました。

ぜひ、再放送をご覧ください。

立ち上がり時に下肢屈曲位の人の背部の筋を触ってみて!


筋力低下が主問題ではなくて
実は身体の使い方がメイン問題で
筋力低下は二次的に起こっている。。。ということって結構あります。

老年期でとても多いのが
誤介助によって
立ち上がりの時に真上に立つという変なクセがついてしまい
その結果として、腰背部の過剰緊張が起こり
ますます体幹の前傾ができなくなり
股関節の伸展ができなくなり
見かけ上、下肢を屈曲させたままでの立ち上がりしかできず
本人にとっても介助者にとっても移乗動作が大変になってしまう
というパターンです。

背中〜腰にかけてガチガチでも
体幹を動かしていくと
逆に体幹の筋はむしろ低緊張で
腰背部の筋がガチガチになっていて
骨盤が体幹から分離して動かせていないだけで
動きを引き出せるようになると
綺麗に股関節伸展位で介助立位がとれるようになることも多々あります。

過去に
「あ、立てた」と思わず口にした方もいましたっけ。

自分の足でしっかり身体を支える、という体験ができなければ
結果として筋力低下は起こりえます。
でも、ここで強調したいのは
「筋力低下は結果として起こる」のであって「筋力低下が原因ではない」
ということです。

見た目、股関節も膝関節も屈曲位で移乗介助を受けているからと言って
伸展能力を失ったとは言い切れません。
(もちろん、ここで気づく人がいなければ下肢の屈曲拘縮は増悪してしまいます)

立ち上がりに介助を要する方で
股関節膝関節屈曲位のままで介助が大変な方がいたら
背中〜腰の筋肉を触って確認してみて欲しい。
たいてい、ガチガチだから。

なぜ、そうなってしまうのか
じゃあ、どうしたら良いのか
それは、次の記事で (^^)

再配信開始!「摂食・嚥下5相で理解する食事中の観察ポイントとスプーンテクニック」


日総研出版さんのオンラインセミナー
 「摂食・嚥下5相で理解する食事中の観察ポイントとスプーンテクニック」 が再配信されました!

詳細・お申込は
上記の紫色の文字部分をクリックしてください。

このセミナーを受講すると
具体的に食事中の観察ポイントとその理由がわかるようになります。
不適切なスプーン介助によって変な食べ方になってしまうケースは多々ありますが
それらの変な食べ方になってしまう理由と
改善するためのスプーンテクニックについても具体的に説明しています。

自分で自分の介助方法を見直し、自己修正できるようになります。

本が完売してしまったので
食べさせるのではなく、食べることの援助をしたい、学びたい
と考えている方にオススメのセミナーです (^^)

神奈川県臨床作業療法大会 大会誌が公開されました


第6回神奈川県臨床作業療法大会の大会誌が公開されました!
_こちら_から、ご覧いただけます。

12月8日(日)に小田原駅西口にある
国際医療福祉大学小田原校本校舎にて開催されます。

ご参加は_事前登録制_です。
神奈川県以外の方でも神奈川県作業療法士会員以外の方でも他職種の方でも
参加費が変わりますが、ご参加いただくことは可能です。

私は14:30~15:50に
『なんちゃって目標からの卒業-自分自身に問い直す‐』というテーマで
目標設定についてお話させていただきます。
概要については_大会誌_をご参照ください。

オンライン研修の良さもありますが
直接会場でお会いできる対面研修も良きものですよね。

当日、お会いできたら
ぜひご遠慮なくお声かけください m(_ _)m
お会いできることを楽しみにしています!



スポンジセラピー


あちこちで
筋緊張が亢進した手指に対して
スポンジを握っていただくと有効!という記事を書いています。

ガチガチに硬くなってしまうと
手指を開排することができず
清潔保持が困難になってしまい
爪切りが大変になったり
臭いがひどくなったり
更衣の時に袖通しが大変になってしまいます。
もちろん、常時過緊張状態なので
ご本人が痛みで苦痛な状態を脱することが困難になってしまいます。

ひどくなると
手関節が掌屈位で前腕回内してしまい
自身の手で胸部を圧迫するような状態になり
手指だけでなく胸も痛いということも起こります。
どんなに辛いことでしょう。 

このようなケースって
実は過去に不適切なROM-Ex.を受けた結果だったり
巻きタオルや市販されている手指の拘縮予防クッションを不適切に使用した結果だったりします。
最近は流石に少ないと思いますが
私が若い頃には肩甲骨を動かさずにいきなり肘を伸ばすセラピストが結構いたのものです。。。

でも、そのような状態の方でも改善は可能です。
もちろん、強直してしまった関節を改善させることはできませんが
筋緊張の問題には対処可能で思っていた以上に可動域を改善させることができます。

どんなに強い亢進状態でも
どこかしら手指の間に隙間ができるので
その隙間に合わせてスポンジを挟みます。

ここで大切なことは
最初からいきなり良肢位、最善、最大可動域を狙わないことです。
段階的な改善を目指します。

でないと、過去に受けた不適切なROM-EX.と同じことをしてしまうことになってしまいます。
末梢を過剰に伸展させると中枢の屈曲を生じさせてしまうからです。

その方のその時の手指の状態に合わせて
優先順位を明確にして
スポンジを再作成していきます。

手指の形にスポンジの形を合わせることも大事ですが
同じように大事なのが、スポンジの反発性を適切に選ぶことです。

以前は
100均の台所用スポンジで作っていたのですが
お気に入りのスポンジが販売終了してしまったのと
男性など手の大きな方には適さないので
最近では車の洗車スポンジをよく使っています。
オートバックスやイエローハット、アマゾンでも購入できます。

お気に入りは、こちらのふたつ


黄色と黒色のツートンカラーのスポンジは反発性が高く
黄色のスポンジは、やや弱目になっています。
他にも多様なスポンジが販売されていますが
お店で購入するときに必ずスポンジの反発性を確かめてから購入していただきたいと思います。

中には反発性が弱くてスポンジセラピーには適さない商品もあります。
(元々の商品の目的が洗車なので当然ですが)


こちら↑のスポンジは
購入時には反発性がそれなりにあるのですが
(上記二つの商品の中間くらい)
水で洗って乾燥するとカチコチに固くなってしまいますので
スポンジセラピーには適しません。
(その代わり、スプーンの柄を差し込んで持ち手の工夫をすることがあります)

長期にわたって過緊張状態が続いていたような方
とりわけ、不適切な介入が続いていたような方に対しては
最初は、gentleな介入から開始します。
小さめに作って握りつぶされるくらいで構いません。
それでも筋緊張や可動域に変化を感じられると思います。
その後に優先順位を決めて反発性の高いスポンジを作成し
状態を確認しながら最終形態を決めていきます。

また、当然ですが
身体はつながっていますので
前提として、適切な全身のポジショニングが必須です。
どんなに適切なスポンジを提供できても
全身のポジショニングが不適切であれば効果が半減してしまいます。

適切にスポンジを作成・提供することができれば
ROMーEx.に時間を取られることなく、次のステップに進むことが可能となります。

再認を確認する尋ね方:懐メロ


再生と再認_については
既に記事にしてありますが、たくさん応用できます。
というか、ふだんの会話から評価できるように
知識を習得し、対応に活用することを奨励しています。

認知症の研修会は
どの職種でもよく開催されていますが
研修会でよくあるパターンは
医学的基礎知識を教科書的に説明するというパターンです。
残念なことに、多くの場合に、そこでとどまってしまっているように感じています。

知識は対応に活かすために学ぶものです。
認知症に関する知識が実際にどのように対応に活かせるのか、というところにまで
展開して説明されている研修会というのは非常に少ないものです。

重度の認知症のある方でも
再生はできなくても再認できる方はとても多いので
再生だけ確認するのではなくて再認の可否についてきちんと確認しておくことが必要です。

例えば
今の80歳〜90歳代の方は娯楽が少ない時代を生きてこられたそうで
歌、懐メロを聴いたり口ずさんだりするということが貴重な娯楽の一つだったそうです。

それを踏まえて
(歌は好きですか?)と尋ねると、大抵の方は「好きだよ」「好きですよ」と答えられます。
(どんな歌が好きですか?)(好きな歌手は誰ですか?)と尋ねると、口篭ってしまうことも多々あります。
そりゃぁ、そうですよねぇ。。。
毎日、歌に馴染んでいればまだしも、突然尋ねられて即答するのは難しいことです。
ところが、「相手は認知症だ」という事前情報があると
本来、誰にでも共通する「久しぶりに尋ねられたテーマには即答するのが難しい」
ということへの配慮がなされずに
「認知症だから答えられないよね」と思い込んでしまう。。。というのもまた非常に多いのです。

そこで私は
だいたいの年代をもとに有名な歌手名を挙げながら尋ねていきます。
90歳〜80歳代の方には、霧島昇・東海林太郎・藤山一郎・岡晴夫・こまどり姉妹・ミスコロンビア
80歳代〜70歳代の方には、石原裕次郎・フランク永井・管原都々子・美空ひばり・大津美子 などなど
有名どころの歌のタイトル、例えば
「旅の夜風」「目ン無い千鳥」「赤城の子守唄」「名月赤城山」「東京ラプソディ」「長崎の鐘」
「東京の花売り娘」「憧れのハワイ航路」「ソーラン渡り鳥」「悲しき子守唄」 などなど
を尋ねてみたり、有名なフレーズを歌ってみたりします。
そうすると、思い出せる方がた〜くさんいらっしゃいます!

これは何をしているかというと
再生の可否と再認の段階づけを確認してるんです。
聴覚情報だけでも再認可能なのか、視覚情報で可能となるのか、体験すると可能なのか

そうすると、関連事項も思い出しやすくなって
〇〇の歌はよく聴いてた、△△はあんまり好きじゃない、
と段々と答えが豊かになってくることも多々あります。

ふだん、言葉数が少ない方に尋ねて
「⬜︎⬜︎」と即答されることもありますし
80歳代の男性に尋ねて「キャンディーズ」と答えた方もいらっしゃいました。

再認を促すために
尋ねる時には、歌手名一覧や有名な歌のタイトルを一覧にしたものを見せながら尋ねます。
(視覚情報も同時に提供する)

再認にも段階づけがあるので
聴覚情報>視覚情報>体験 のどの段階で再認しやすいのかも確認しています。

こういった工夫をするとしないとでは答え方の難易度が変わります。
多くの人は再生の可否だけ確認して再認の可否を確認しようとしない
再認の可否を確認できる場面設定をしない
だから、答えを持っている人でも答える前の段階で止まってしまっていて
本当の能力を目にすることがないし、能力発揮できない。。。
どちらにとっても本当にもったいないことだと感じています。

知識は対応に活用するために習得するのであって
「聞いたことがある」というレベルでは対応に活用することは叶いません。

研修会で説明するときに
対応への活用の具体例や展開例を含めて伝えると
一層、基礎知識の理解が深まりますし
臨床場面で「やってみよう」と思えるようになるという声をよく聞きます。

教科書に書いてあることは読めばいいと思いますし
認知症の研修会は一時期に比し、もう飽和状態だと思うんですよね。。。
その次への展開が求められていると感じています。
知識をどのように対応に結びつけていくのか、
理念の具現化をするために最も必要な思考過程の明確化こそが
現場に必要で、なおかつ、求められていることだと感じています。

速報! 食事介助オンラインセミナー再配信


おかげさまでこちらの本は完売いたしました m(_ _)m
  
食事介助の基本をきちんと学びたいけど
本を読めなくて困っているという方にお知らせです。
  
日総研出版さんのオンラインセミナー
「摂食・嚥下5相で理解する食事中の観察ポイントとスプーンテクニック」の
10月28日(月)から再配信されることが決定いたしました!

認知症があってもなくても
生活期にある方への食事介助は多くの課題を抱えています。

「何を」「どのように」食べていただくか、どのように援助するか
というのが食事介助ですが
多くの現場では、いつの間にか
「食べることの援助」から「食べさせる」ことにすり替わってしまっています。

職員の多くは、善意で関わっているのに
なぜこのようなことが起こるのか
もちろん、日々の忙しさという要因はあると思いますが
実は、それ以上に
食事介助は食べ方を観察しながら介助するのだ
という基本をきちんと教わっていないということが最も大きな要因だと考えています。

言葉としては
「食べ方をよく見て相手に合わせて介助する」と抽象的には聞いても
「食べ方」を「よく見る」とは
具体的にどこをどのように観察することなのか
どのような食べ方はどのような介助方法によるものなのか
どのように修正したら良いのか

という具体的な指導は、ほとんどの人が受けていないという現状があります。

だから
今、目の前にいる方の食べ方をポイントを押さえて観察ができない
食べ方を見るといっても、ムセの有無しか気に留めることができなかったり
自身のスプーン操作を適宜修正することができないのです。

これは、本当に由々しき事態だと思いますが
逆に言えば、だとしたら
食べ方に関して、きちんと観察のポイントを学べば良いだけだし
スプーン操作の具体的な修正方法を学べば良いだけなのです。

巷間言われているように
歳をとって嚥下機能が落ちて誤嚥。。。
というケースは実は少なく
咽頭期の問題は口腔期に引きずられて二次的なもので
生活期にある方の食べ方の本質的な問題は
口腔期にあることが大多数で
しかも口腔期の能力は多くの場合改善可能です。

多くの生活期にある方
重度の認知症のある方でも
私はたくさんの方の食べ方を改善してきました。
それらの体験をもとに、具体的に明確にご説明いたします。

明日からの臨床で
食べ方を観察できるように
自身のスプーン操作を適宜修正できるようになるのが
こちらのオンラインセミナーです。

オンラインセミナーの詳細は、後日改めてこちらでもお知らせいたします。

防げるシリーズ:美容院脳卒中症候群

美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)は
美容院業界では対策がとられているようですが
高齢者施設では、そこまで注意喚起がなされていないようにも思います。

美容院脳卒中症候群とは
長時間の頸部圧迫や上方注視によって
後頸部にある椎骨動脈を圧迫してしまうことによって
めまい、ふらつき、手足のしびれやひどい時には脳梗塞を起こしてしまうことを言います。

高齢者施設でよくあるケースが
普通型車椅子に乗車している方が
頸部後屈位のまま長時間居眠りをしているというケースです。

認知症が重度になると
手足のしびれを言語化できないことも多々ありますので
職員が予防的に対応できないと片麻痺がいつの間にか生じている
ということも起こり得ます。

このような姿勢で居眠りしていたら
ベッドで臥床を促したり
ベッド臥床が難しい場合には、
ヘッドレストを後付けしたり
ヘッドレストがついているタイプの車椅子に変更することによって
予防するように気をつけたいものです。