歩き出そうとする方への対応:環境設定

 

歩くのは不安定だけど自分で立って歩いてしまう方の
お部屋での環境設定の工夫の考え方です。

今はセンサーマット・センサークリップ・センサーベッドなど
さまざまな商品が開発されてきているので
それらを活用していない施設はまずないのではないかと思います。

センサーが反応した→すぐ訪室→既に歩いていた、とか既にトイレに座っていた
というような話は多々ありますよね。。。

センサーを活用するにしても
さらに追加でお部屋の環境を工夫しておくと
安全対策が高まります。

環境設定の工夫としては
1)立ち上がり〜歩き出しに時間を稼ぐ
2)より安全に立ち上がり、歩けるようにする
という二つの方向があると思います。

1)の立ち上がり〜歩き出しに時間を稼ぐ
の場合、立ち上がりも歩行も動作的にはできるけど
かなり不安定で転倒リスクが高い方の場合に適応します。

 具体例としては
 (1) 低床ベッドもしくは布団の使用
 (2) 靴や靴下の設置あるいは変更

2)より安全に立ち上がり、歩けるようにする
の場合、立ち上がりも歩行も安定してはいないが
それほど不安定ではない場合やもしくは本人がどうしても歩いてしまう
といったケースが該当します。

 具体例としては
 (1) ベッドの居室内位置の変更
 (2) ベッド周辺につかまれる安定した椅子などの設置
 (3) 視覚的な明示化
 (4) 万が一に備えて外傷対策



さて、では具体的に。

1)の立ち上がり〜歩き出しに時間を稼ぐ

 (1) 低床ベッドもしくは布団の使用
  ・低床ベッドは立ち上がりにくいので
   そこでセンサーが反応してから職員が訪室するまで時間を稼げますし
   仮に転倒しても衝撃を和らげることにもつながります。
  ・布団から立ち上がるためにはかなりのバランスと協調性が要求されるので
   四つばいや膝立ちしている状態で間に合いやすくなります。

 (2) 靴や靴下の設置あるいは変更
  ・靴をきちんと履く習慣のある方には靴をベッドの足をつける位置に
   揃えて置いておきます。
  ・もっと時間を稼ぐためには靴下を靴の中に用意しておくのもテです。
  ・ただし靴や靴下を自分で履けない、もしくは誤って履いてしまう方の場合には
   チャルパー(徳武産業)のような踵があるスリッパに変えたり
   場合によっては裸足で歩いていただくことも選択肢となってきます。

 

2)より安全に立ち上がり、歩けるようにする

 (1) ベッドの居室内位置の変更→動線の安全性を高める
  ・基本的には壁などに手をついて支え歩きができるようにする
   そのためにベッドの位置を変更するということです。
    起き上がる方向と壁の間を狭くしたり
    (起き上がらない方向には柵を2本設置しておく)
    ベッドの頭方向の柵に捕まって移動できる位置にベッドを動かす

 (2) ベッド周辺につかまれる安定した椅子などの設置
  ・安全につかまり歩きができるようにつかまりポールや
   ガッチリ安定した椅子などを置いておく 

 (3) 蓄光シールを要所に貼付する
  ・夜間でもつかまれる場所がわかりやすいように
   あるいは注意喚起(壁の角があるとか)のために
   もしくは矢印を作ってトイレ表示をわかりやすくするために
   蓄光シールを貼付する

 (4) 壁の角などに緩衝材を設置する
  ・もしぶつかっても大きな怪我につながりにくいように

 

大切なことは
対象者の方の能力と障害と行動特性をよく把握し
安全のために最優先するのは何なのかを明確化し
実行することと、必ず実行した方法について検証をすることだと考えています。


   

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