声かけをする時に
ジェスチャー、身振り手振りを添えるのは、とても重要です。
なぜなら
近時記憶が低下していると
モノゴトには必須の、経過や背景、周辺状況といった関連情報が低下してしまうからです。
その場その場の意思疎通は明確に行えても
前提となっている情報を忘れてしまうと
適切な判断は行えなくなってしまいます。
例えば
自分で歩けていても
今、トイレに行ってほしいから立ってほしい
今、入浴のために立ってほしいという時には
なかなか立ち上がってくれないという方は少なくありません。
そのような時に「来て」と言って
ジェスチャーを添えると、スッと立ち上がれるということがよくあります。
なぜ、ジェスチャーを添えるのかというと
モノゴトには必須の関連情報が低下してしまうと
その場その場の言葉は聞こえても
意味までは理解できずに音としてのみ認識している場合があります。
「来て」という言葉を「キテ」という風に
この「キテ」が
「着て」でもなく、「切って」でもなく、間違いなく「来て」なのだということを
明確に伝えるためにジェスチャーを添えるのです。
「次の角を右に曲がって」という時にも
手で右側を指し示すことが重要です。
近時記憶が低下する
というのは、新しいことを覚えられないということだけでなく
モノゴトの前提となっている関連情報を忘れてしまう
そのことによって、本当にさまざまなコミュニケーション障害が起こるのです。
同時にそれはとりもなおさず
こちらが認知症のある方の困難を明確に把握できさえすれば
かなりの確率で回避することも工夫することも可能な面が多いのだ
ということを示唆しています。
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