ちぎり絵は塗り絵と同様に
同一工程の繰り返しという要素の強いActivityです。
近時記憶障害が重度であったとしても
構成障害が軽度であれば遂行しやすいActivityといえるでしょう。
表現活動を好む方が長く楽しめるActivityでもあります。
ところで
「塗り絵」と「ちぎり絵」
似て非なるActivityですが
みなさまは、どのように使い分けていらっしゃいますか?
私が考えた両者の違いと臨床での使い分けについて
これからご説明していきます。
まずは、共通点の再確認から
塗り絵もちぎり絵も表現活動ですから
表現を好む、工夫することを楽しむ方に向いています。
色の濃淡を塗り分け、時に重ね塗りをしています。
この方は「この花の写真ある?嘘ついちゃいけないからね」といって
花の写真を見ながら丁寧に塗り絵をなさっていました。
一方で、↑ こんな風に塗り絵をする方も多くいます。
下線を決してはみ出さない。
均一にきっちり塗りつぶす。
これはこれで、立派な作品ですが、表現の工夫をしているわけではありません。
「きっちりとこなす」ことに興味関心があるようです。
このような方には、表現の多様さを楽しめるActivityよりも
むしろ、きっちりと行うことが完成度の高さに直結するようなActivityの方が向いています。
たとえば
編みものや縫いもの
「昔とった杵柄」としてそのまま適用すると逆効果になる場合には
指編みや毛糸モップを提供します。
お年寄りの中には
「働くこと暮らすことで精一杯で趣味なんてする間なんてなかったよ」
とおっしゃる方もいます。
身体的な労働を一生懸命してきた方にも
むしろ、指編みや毛糸モップといったActivityが向いています。
身体的な労働に従事してきたということは
身体運動感覚を長年にわたって活用してきたわけですから
一定の力加減をきちんと再現し続ける要素のあるActivityだと
見事に遂行することが可能ですし
完成した作品を実際に使えるという実用性がある面も向いています。
棒針やかぎ針を使わず
直接的に手指を用いるActivityなので
身体運動感覚をより強調して再現することにもなります。
近時記憶障害が重度で再認も困難な方だと
指編みや毛糸モップを導入することは難しい場合もありますが
個別リハなどでセラピストが常に同席できる状況では
場面設定と援助を工夫することで遂行可能になることも多々あります。
指編みや毛糸モップと、塗り絵やちぎり絵では
Activityの特性が真逆となるので
適用する方の特性に合わせて、提供を判断しています。
「塗り絵」と「ちぎり絵」の使い分けについてご説明する前に
前段階として、共通点の再確認をしました。
それでは、両者の違いについて次の記事でご説明します。
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