![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3692-225x300.jpg)
毛糸モップを例に
工程の伝え方について説明します。
工程の最初から説明するのではなくて
工程の終わりから体験していただきます。
毛糸モップの実際の工程は
下の写真の通り、毛糸を針金のハンガーに結びつけていくのですが
(糸先の向きや毛糸の上下など、人によってやりやすさが違うので、そこは変更しながら)
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/工程-1024x256.jpg)
工程を理解してもらうためには
終わりから体験していただきます。
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3684-300x225.jpg)
この状態にして「毛糸の先をキューっと引っ張って」と声をかけます。
何回か繰り返して間違いなくできるようになってから
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3685-300x225.jpg)
ひとつ前の工程に遡った状態にしてから
「毛糸の先をキューっと引っ張って」と声をかけます。
何回か繰り返して間違いなくできるようになったら
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3686-300x225.jpg)
さらにひとつ前の工程に遡った状態を提示して
「毛糸の先を輪の中に入れてからキューっと引っ張って」と声をかけます。
何回か繰り返して間違いなくできるようになったら
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3687-300x225.jpg)
「毛糸を針金の下をくぐらせてから
輪の中に入れた糸先をキューっと引っ張って」と声をかけます。
何回か繰り返して間違いなくできるようになったら
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3688-300x225.jpg)
糸先を真っ直ぐに潜らせる工程を追加で体験できるように
あえて糸先をずらせて提示しておきます。
ここまでくると、声をかけなくても動作できる方も大勢いますし
声かけが必要であれば
どこで戸惑っているのかをよく観察して声をかけます。
つまり、
糸先を真っ直ぐ向こう側に変えるところか
毛糸を針金の下をくぐらせるところか
毛糸を針金の上から輪の中に入れるところか
戸惑っているポイントで声をかけます。
対象者の方は必死になって取り組んでいるので
無駄な声かけは一切しないように
よく観察することを心がけています。
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3689-300x225.jpg)
次に、上の写真のような提示の仕方でも
毛糸をひとつだけ取って迷いなくできるようになればOKです。
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3690-300x225.jpg)
![](https://yoshiemon.info/wp-content/uploads/2022/01/IMG_3691-300x225.jpg)
念の為、複数の毛糸がある中から1本だけ毛糸を選んでつまめるか
上の写真のような設定をして、確認します。
もしも、途中で違う行動をしたり
戸惑う様子があれば
確実にできる工程まで戻って
確実にできる工程を繰り返し体験していただきます。
不安そうな様子があれば
確実にできる工程を繰り返し体験していただいて終わりにします。
近時記憶が低下していて
MMSEやHDS-Rの得点が1桁の方でも
再認できる方はとても多いものです。
HDS-Rが3点の方でもできた!というメールを受け取ったこともあります。
体験の再認が可能な方は大勢います。
毛糸モップは、
毛糸や糸、針金という素材の面からも
結ぶという動作の面からも
なじみのあるActivityですし
少ない工程の繰り返し
仕事的意味合いの高いActivityなので
重度の近時記憶低下がある方でもできるようになる可能性の高いActivityでもあります。
Activity選択の考え方については
こちらの記事をご参照ください。
認知症のある方にActivityを勧めると
「私、何もできない」
「難しいことは嫌」
と言われることが多々あります。
暮らしているだけで
失敗体験を積み重ね、必死になって日々を送っているのですから
Activityで余分な失敗体験をさせたり不安な気持ちを喚起させないように気をつけています。
「一緒にやるから大丈夫」という言葉の危険性については
下記の記事で警告しています。
構成障害のある方には、適さない声かけなんです。
・https://yoshiemon.info/2021/09/04/study/update/2370/
・https://kana-ot.jp/wp/yosshi/3429
・https://kana-ot.jp/wp/yosshi/3630
工程の終わりから体験学習する
その過程において
声かけはピンポイントで
言葉だけに頼らずに対象に工程を語らせるという工夫をしています。
工程の終わりから体験学習するという方法は
食事場面での上肢操作練習、スプーン操作練習でも行っています。
ここは、案外多くの人にとって盲点となっているように感じています。
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