こちらでは
現場あるあるの事例集をまとめています。
たいていの本や論文、講演では
表面的な事象と工夫した対応が提示されますが
認知症のある方の障害と能力について
明確に分析されている事例集はあまり見かけません。
OT対象の研修会や本でも
多くの場合に
・評価としてバッテリーが紹介
・最も大切な「統合と解釈」が明示されず
・いきなり個別の対応が分析なく提示
といった状態で説明されるので
知識も評価も実践もバラバラになってしまっている。
評価結果が対応に反映されることがない。
バッテリーをとって結果は得ても、
その過程において得られるはずの情報を観察から収集していない。
だから、「ハウツー」を求める思考態度・臨床態度が蔓延してしまう
のではないでしょうか?
EBMとして海外の文献が紹介されることはあっても
丸引きされているだけで、どう臨床場面と結びつけたか
あるいは、前提としての文化格差について
きちんと検討して明示している話を聞いたこともなく、見たこともありません。
余談ですが
私は、認知症のある方の
症状や障害は万国共通であっても
対処の仕方に文化格差がある、
欧米と日本の人とでは能力発揮の仕方が異なる、
対応の工夫も異なる可能性があるのではないかと考えています。
認知症のある方の
生活障害やBPSDを軽減するために
必要なのは、理論ではなく
解剖、生理、症候学といった基礎知識であり
基礎知識の概念をきちんと理解・習得することであり
習得した知識をもとに観察・洞察できることです。
理論はツールですので
それらの下位にあって活用するものです。
理論に対象者を当てはめるのではなく
対象者利益のために、理論を活用する。
私は
バリデーションは本当に有用な方法論だと考えていますが
バリデーションで食事の困難を解決することができるわけではありませんし
ナオミ・フェイルもバリデーションは万能ではないと明言しています。
理論とはそういうものです。
対人援助職に
特に作業療法士にとって
普遍的に必要なことは理論ではなく
基礎知識の習得と
習得した知識に基づいた観察・洞察が行えることと
自身の言動を的確に調整できる技術です。
観察・洞察・評価に基づいて実践することです。
もっと踏み込んで言うと
任意の理論だけに拘泥すると
ごく一部には対処できたとしても
認知症のある方のさまざまな状態像を観察・洞察することが難しくなり
結果として、生活障害やBPSD全般に対処できなくなってしまう
と言う恐れがあります。
ここは
本当に困っている人向けに
現行の対応に疑問を抱いている人向けに
認知症のある方に本当に役に立ちたいと願っている人向けに
私からの提案です。
観察・洞察・対応の一連の過程を明記した事例集です。
ご活用いただければ幸いです。
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