伝授!生活期のポジショニング(11)手指の拘縮にスポンジ:関連事項


手指だけが拘縮を起こしているというケースもあるかもしれませんが
ほとんどの場合、全身の問題ですから
手指にスポンジを装着する時には臥床時や離床時のポジショニングも設定します。
その上で手指にスポンジを装着すると一層効果的です。

そのスポンジですが
オートバックスやイエローハットなどのカー用品店で購入しています。

Amazonでも購入できますが、スポンジの反発性を確認してから購入した方が良いと思います。
私は _こちら_ の商品を使用しています。

まず、反発性が弱目のスポンジで小さく作ります。
ここがポイントです。
修正するのではなく、援助するのですから、
受け入れられる変化にとどめる、負担をかけない、他部位に代償させない

ということが大切です。

作成したスポンジはガーゼでくるんで手に固定しています。
本来、皮膚に接したガーゼは使い捨てるものですが
諸般の事情で難しい場合もあるかもしれません。
他の方と使い回すことのないように
その方専用で洗って期間を決めて交換しても良いかもしれません。
ただし、血液や膿などで汚染されたガーゼは必ず破棄するようにしましょう。
  
スポンジは、入浴時などに洗ったりアルコール消毒して乾燥させて再利用します。
理想は、毎日交換できることです。
なぜかわかりませんが、つぶれて変形したスポンジにアルコールスプレーをすると
ふっくらと反発性が戻り、形も元に戻ります。

他部門が紛失してしまうことも起こりえますから
可能であれば、洗い替え用に1つ、紛失に備えてもう1つ
最初に3つ同じものを用意しておくと安心です。

退院・退所時には
スポンジの意義を文書化したものを用意して
スポンジと一緒に持っていっていただきます。
意義を理解した上で使うことが重要ですが
たいていの人はスポンジの意義を知らないので説明が必要です。

・・・関連記事・・・
「 拘縮悪化予防スポンジ 」
スポンジでROM
本当にオススメ!スポンジリハ
   
それぞれのタイトルをクリックすると掲載記事をご覧いただけます。

「目標設定」講演無事終了


12月8日(日)に国際医療福祉大学小田原校で開催された
第6回神奈川県臨床作業療法大会での講演2「なんちゃって目標からの卒業ー自分自身に問い直す」を
無事に終えることができました。

今回、なんといっても強く感じたのが
木村大会長はじめ実行委員の皆様がとても気持ちの良い方ばかりだったことです。
事前のやりとりでも丁寧にご連絡いただいたので安心して当日に臨むことができました。
大変お世話になりました。どうもありがとうございました。
このような大規模のイベントの準備は多岐にわたるので
臨床をしながらの毎日、とてもお忙しかったのではないかと思います。
みなさま、本当にお疲れ様でした。

おかげさまで、目標設定の講演も無事に終えることができました。
終了後に何人もの方からお声かけいただいたり
ある養成校では実習前に取り入れてくださっていると教えていただき
本当に嬉しく思いました。

構成障害とか遂行機能障害という言葉を知っていても
立方体透視図模写テストやトレイルメイキングテストをしても
構成障害とは何ぞや、遂行機能障害とは何ぞやと言明できなければ
日常生活場面でどのようにそれらの障害が反映されているのか観察することができません。
それとまったく同じように、
目標とは何ぞや、行動とは何ぞやということが言明できなければ
目標を目標というカタチで設定することはできないのです。

「関節可動域の維持・改善」「筋力の維持・改善」は目標ではありません。

目標設定について、詳しく知りたい方は _こちら_ をご参照ください。

良い目標を設定することができるようになれば
現行のポジショニングや食事介助、認知症のある方への対応のおかしいところ
理念と実践の乖離や評価と治療の乖離といった現状をまざまざと観察することができるようになります。
そして、自分自身が理念を実践の根拠とするように
評価を治療の根拠とすることができるようになることが叶います。

自分で自分を良いセラピストに育てることができるようになるのです。


オッティ・クニ子も健在でした!
クリスマスバージョンですね (^^)

伝授!生活期のポジショニング(10)手指の拘縮にスポンジ

人の手の筋緊張は
どんなに強い拘縮のある方でも24時間同じ筋緊張ではなく
必ず変動があるものです。
その変動をスポンジの反発性を活かして増幅させるところに意義があります。 
だから、スポンジを外しても、手指が伸展・開排肢位を保つことができるのです。
よくある市販品やタオルやガーゼを巻いて握ってもらっても
大抵、外すとキューっと一気に握り込んでしまうでしょう?
スポンジであれば、適切に作成できればそんなことはまずありません。

筋緊張の変動を生かすということは、当然、前提として
臥床時・離床時に適切なポジショニングが設定できることは必須となります。

このスポンジセラピーの良いところは
spasticityだけでなくrigidityへも対応可能で
人の手によるリラクゼーションの手間を省略して
関節そのものを動かしたり、その次の展開へと結びつける時間を確保できる
ところにあります。

スポンジセラピーで良い結果が出ない時には
まず、自身の選択と対応の適・不適について確認していただきたいと思います。
決して、手指だけを見て過剰な大きさ・過剰な反発性で作らないでいただきたいと思います。
末梢を過剰に外的に見た目だけ伸長させれば近位部の過剰収縮を招きます。
既に説明したように、大腿四頭筋や縫工筋などポジショニングのクッションと
全く同じことが違うカタチで起こっているのです。

修正・改善するのではなくて、援助するという観点に立って
手関節や肘、肩関節に負担をかけないように作成してください。

また、手指の拘縮が長期にわたっていた方の場合に
皮膚も短縮していることが往々にしてありますので
過剰な伸展位の設定は皮膚を傷つける恐れがあります。

私は、通常、小さめ・弱めに作って上肢全体の状態を確認しながら
必要であれば2個目、3個目で完成版を作成するようにしています。

適切に、スポンジの大きさ・形・反発性を選択することができれば
最初は嫌がって拒否をしていても
拒否の程度が装着時のみに限定されたり
拒否がなくなったり
痛みを訴えることもなくなったりしてきます。

たぶん、「スポンジを装着すると楽だ」ということが実感できているのだと思います。

拘縮が強く、筋緊張が亢進している方ほど
スポンジセラピーによって状態が劇的に良くなりますから
他職種への説明の説得力があります。

  

伝授!生活期のポジショニング(9)車椅子座位設定のポイント


車椅子離床時のポジショニングは
端座位をとっていただいて確認しています。
どのような介助をしたら(どこを支えれば)端座位が取れるのか
支えた部分にクッションや巻きタオルを設置
しています。

明らかに介助端座位をとることが難しい方は
ティルト型車椅子に座っていただいて
(1)前から見て(2)左右両側から見て姿勢確認をします。

まず、第一に確認するのは
車椅子との不適合がないか、どうかです。
特に、座面の奥行きと乗車する対象者の方の大腿長が不適合だと
臀部の前方への滑り座りを惹起させることになりますので要注意です。

可能であれば
対象者の体格と車椅子座面の横幅が大きく異ならない方が良いと思います。
現実には選択肢が限られていることの方が多いと思いますので
対象者の体格よりも車椅子座面の横幅の方が大きい時には
側面をクッションで補助するなどの工夫で補います。

最後に
対象者固有のポイントに対処します。

普通型車椅子に乗車可能な方で
拘縮によって脚長差があれば修正するのではなくて
脚長差があっても上位の体幹に影響が及ばないようにポジショニングを設定します。

普通型車椅子で体幹が側方に傾いてしまう方の場合には
表面的に傾きに対処するのではなくて
端座位の状態をよく観察して、端座位での対応だけでは困難な時には
ティルト型車椅子でティルトを少し傾けた状態にすると
体幹の傾き以外の本来のその方の座り方を観察することができるので
そこを観察して対処します。

気をつけなければならないことは
車椅子上で傾きがある方に対して
クッションを入れ込んだりすることはしても
臥床時のポジショニングを疎かにしてしまいがちなことです。
車椅子上で身体が傾いている方というのは
体幹が低緊張か高緊張かのいずれかですが
臨床的には高緊張の方の方が圧倒的に多いです。
臥床時のポジショニングを設定しただけで
車椅子座位での傾きがなくなるというケースを多数経験しています。

ただ単に車椅子座位時に傾いている側にクッションを当てこむような
表面的な対応からは卒業しましょう。

伝授!生活期のポジショニング(8)他職種への伝達


ポジショニングしたら
写真を撮って部屋に掲示する人はたくさんいると思います。

私はもう1工夫して
クッションそのものに設置場所を書いたテープを貼付しておきます。
(膝の下、肩〜肘の下など)
さらに、今は養生テープでもガムテープでもカラフルなテープが販売されていますから
仰臥位・右側臥位・左側臥位、離床時と姿勢によってテープの色を変えています。

文字の読みやすさを考えて
テプラで色を変えて上から透明テープで固定
という方法も試しましたが、高機能の透明テープでないと
扱いにくく、剥がれやすかったので
結局、ガムテープにマジック表記に落ち着きました (^^;
ただし、ガムテープは剥がす時が大変ですから
養生テープの方が綺麗に剥がせます。
高機能高価格のクッションには養生テープを選択して貼り方に工夫をします。
剥がれにくいようにテープ同士を重ねるようにしています。

例えば
仰臥位に使用するクッションには
クッションの裏表両面に(例えば)水色のテープを貼って
そのテープに「右膝下」「左膝下」「下腿の下」などとマジックで書いています。
右側臥位には色を変えて(例えば)ピンク色のテープに
「膝の間」「肩甲帯〜骨盤帯」と書いています。
姿勢ごとに色を変える
設置場所はテープに書いておく
という工夫
をしています。

使うものに使い方を書いておく
対象に語らせる という方法
をとっています。

迷った時には掲示してある写真で確認する。というわけです。

また、できるだけ設置するクッションの数が少なくなるように工夫します。
膝下にクッションを設置する場合も
右膝用と左膝用と2個用意するのではなくて
右膝用と左膝用を固定して「膝下」用のクッション1個とします。
左右を間違えないように、クッションに「右膝」「左膝」と書いておくようにしています。
設置する人の負担が少なくなるように
パッと見てパッとわかる、すぐに設定できるという工夫です。

間違えて設置しないように、使わないクッションは片付けるようにしています。

私以外の人がポジショニングする機会が多いのですから
変則交代勤務・不特定多数の人の
1)設定への負担を減らす
2)間違えないように、迷いにくいように
設定の工夫をする

ということをしています。

よく、「他職種がちゃんとポジショニングを設定してくれない」
という声を聞きます。
気持ちは、よくよく分かりますが (^^;
まず、こちらができる努力をすべきです。
その努力とは
1)他職種が迷うことなく楽に設定できるように考慮する
2)設定によって、対象者も他職種も「楽になった」実感が持てるように
  結果を出せるポジショニングをする

ということです。

「良肢位保持」といくら語っても
(えてして、ちっとも良肢位になっていなかったりするのですが)
お身体を動かすたびに、重くて硬くて、設定そのものが大変だと
「何のために」やっているのか、わからなくて
形だけになったり、テキトーになったりしてしまうのも
わからなくはありません。

適切なポジショニングができれば
必ず、その場で結果が出ます。
ガチガチだったお身体がふわ〜っと動かせるようになります。

当初、設定そのものを嫌がって手を払いのけるような仕草をしていた方でも
だんだんと拒否の程度が軽くなり、そのうち拒否しなくなります。
「身体が楽になった」
と実感できているのだと思います。

中には、それでも、なおかつ
ポジショニングをちゃんと設定しようとしない職員もいなくはありませんが、
それはその人固有の問題であり
大抵、他の事柄に対しても同様の対応をしている人なので
それは、リハ職が対処すべき問題ではなくて
その人自身とその人の上司が対処すべき問題です。

ところが、他職種の上司もいろいろで
わかっていない人もいれば
わかってはいるけれど敢えて今は触れないようにしている人もいます。
こちらもこちらで上司に相談すべきですが
こちらの上司もいろいろです (^^;

そんな時にどうしたら良いか
いつまでも手をこまねいているだけでは
対象者の方の不利益につながります。
意図的にポジショニングをきちんと設定しようとしない人に対して
だからと言って、直接的な行動変容を促すような関与をすると
かえって攻撃されたり、有る事無い事吹聴されたりしますから
黒船効果を狙うと良いと思います。
つまり、周囲の人がみんな適切にポジショニングができるのに
その人がしない、となると明らかにその人の落ち度だということになります。
よっぽどの人でなければそのような事態は回避しようとして
仕方なくでもちゃんと設定するようになります。

つまり、徹頭徹尾、自分自身が
まず適切なポジショニングを設定できるようになることが
常に必要なのです。


伝授!生活期のポジショニング(7)設定後には筋緊張確認


ポジショニングを設定したら
まず、することは状態確認です。

設定前に、真横からと足元から
全身を観察し、上下肢の他動運動への抵抗感を確認していますから
設定後にも同様に上下肢の他動運動への抵抗感を確認して
変化を把握します。

きちんと適切に設定されていれば
設定直後から筋緊張は緩和するものです。
さらに日を重ねて筋緊張の度合いはより遠位の筋に及んでいきます。

筋緊張緩和した結果として
良肢位につながっていきます。

順序は逆ではないのです。

こんなことを繰り返していれば
百害あって一利なし
お身体はどんどん硬くなってしまいます。

私たちの不適切な対応と考え方がいけないのに
大多数の人は、
「ちゃんと対応したのにどんどん身体が硬くなるのは対象者の問題」
だから「仕方ない」と思考放棄してしまいます。

ポジショニングとは、見た目を整えることではないのです。

良かれと思って設定したのに
結果が出ない、良肢位保持できない、筋緊張が緩和しない
という時には、ポジショニングの設定が良くないのです。

臥床時のポジショニングは
身体の姿勢保持の働きを休めてリラックスできることが目的です。

ポジショニング設定後には
目的が達成されたかどうか、確認が必要です。
私は臥床時のポジショニングを設定したら
必ず膝や上肢を左右に動かして筋緊張の変化を確認しています。
設定直後はもちろんですが
時間を置いて、もう一度再訪し
姿勢の崩れの有無と筋緊張の変化を再確認しています。

ここまでする人は少ないようですが
(自分の設定が適切かどうか、確認しないで不安じゃないのかな?)
設定が適切かどうか、判断できるのは設定者ですから
必ず確認をしていただきたいものですし
再確認の時に姿勢や設定が崩れていたとしたら
どこかに問題があり、その問題を見落としていた、ということなので
もう一度、真横からと足元から全身を観察して設定をやり直せば良い
だけです。

ここを間違えると
何回、観察したって適切な設定など、できようはずがありません。
食事介助や生活障害、BPSDへの対応とまったく同じなのです。

また、適切にポジショニングが設定されると
時間が経つと設定直後よりさらに筋緊張が緩和されてきます。
枕の高さにも注意が必要です。
設定前に不適切な対応をされていた方ほど変化が大きくなりますから
適切な設定ができていたからこそ再設定が必要になることもあります。
(余分なクッションを外せる)

翌日、3日後、1週間後くらいには再確認をしておきましょう。

ガチガチに硬かった足関節や肘が動くようになることも多々あります。

 


生活期のポジショニング術、伝授します(6)側臥位設定のポイント


側臥位では
必ず肩甲帯〜骨盤帯にクッションを設置して寄りかかれるようにしましょう。
寄りかかる=身体を預けられる=筋の姿勢保持の働きを休めることができる=筋緊張緩和する
からです。

ここで気をつけなければいけないことは
完全側臥位をとらせてはいけない。ということです。
完全側臥位はベッドに接する身体の支持面がとても狭く不安定な姿勢です。
また、下側になっている上下肢を引き出しておかないと
圧迫されて橈骨神経麻痺による下垂手や腓骨神経麻痺による下垂足を起こしてしまうこともあります。

 * 橈骨神経麻痺 と 腓骨神経麻痺 はそれぞれのページをご参照ください。
   
30度側臥位が推奨されていますが、
最も重要なことは身体を面で支えるということです。
身体を面で支えた上で重心の位置を変えていけば良いのです。

変形・拘縮があったり
筋緊張が亢進していれば
身体を面で支えることが難しくなります。
一見、ベッドに身体が接しているように見えても
筋緊張が亢進していれば、
支持面が狭くなりますし筋肉内を走る毛細血管も拡張しにくいので循環障害も起こりやすくなります。

側臥位は不安定になりやすい姿勢ですので気をつけていただきたいものです。
ポイントは、
1)肩甲帯〜骨盤帯をきちんとクッションで支える
2)下側の上下肢はきちんと引き出す

ということです。

 

伝授!生活期のポジショニング(5)見た目は同じでも機能が異なった2事例


きちんと観察すれば
その方がどういう状態なのか、そのポイントを洞察することができます。

洞察するに際して、最も重要なことは考え方で
良いと考える姿勢から、差し引きマイナスで現状を見て「修正」しようとはしないことです。
その方が困っているところを洞察して「援助」しようと考えてください。

多くの場合に
「修正しよう」と考えて対応して逆効果になっているのです。
そのような考え方ができるのは、実は、
その方固有のポイントを洞察できていないからだとも言えます。

例えば
下肢が交差してしまうケースでも
状態像はケースによって、まったく異なりますが
きちんと全体を観察しないと
ただ、下肢が交差しないようにというポジショニングを設定してしまいがちです。
(そして効果がないのに、そのまま放置されて、対象者の状態のせいにされるという。。。)

ある方は
下肢そのものの筋緊張はさほど高くありませんでしたが
円背があって肩甲骨が外転・前方突出していて肩甲帯が不安定でした。
肩甲帯が安定するように肩甲骨〜上腕にかけて柔らかなクッションを、
膝下〜下腿にかけてクッションを設置したところ
下肢の交差そのものへは何の対処もせずとも交差することはなくなったということもありました。

別の方は
下肢を含めた全身の筋緊張が高く
下肢は伸展パターンをとっていましたので
骨盤を後傾させ股関節を屈曲させてからクッションを設置し
膝下〜下腿、上腕下にクッションを設置することで全身の筋緊張が緩和されました。

見た目は同じ「下肢が交差している」状態でも
1例目は肩甲帯の不安定さ
2例目は下肢の伸展パターン
というように、状態像は全く異なっていますから、当然、対処も全く異なります。

下肢の交差という、とても目立つ「見た目」があると
そこに注目して、修正しようとしがちですが
まず、常に全身、全体像を観察することが重要です。

1例目は
目立つ「見た目」にとらわれて
ポイントである肩甲帯の不安定さを見落としてしまいがちですし
2例目は
目立つ「見た目」にとらわれて
下肢だけを外転・屈曲させようとクッションを膝の間に詰め込んだり
必死になって屈曲させようとしがちですが
大抵の場合に、クッションを外せば一気にキューっと下肢が伸展内転してしまいます。
そうすると、全身が一層硬くなってしまうのです。。。
それじゃあ、寝ても寝た気がしないと思うのです。。。

見た目だけ捉えて表面的に修正しようとしても
効果が得られないどころか逆効果になってしまいます。

自分の気になるところだけをみて
表面的に修正・改善しようとするような在り方は
ポジショニングだけでなく
生活期にある方の食事介助でも
認知症のある方の生活障害やBPSDへの対応についても
散見されるパターンです。

私がよく
「同じコトが違うカタチで起こっている」
と言う所以です。




伝授!生活期のポジショニング(4)見落としがちなポイント


骨盤が傾いている場合
まず、傾いている側の骨盤の下にタオルを畳んで設置します。
例えば、骨盤が左方へ傾いていれば
左側の骨盤の下にタオルを畳んで設置します。
すると、骨盤が左右対称位になりますから
次に、下肢とベッドの隙間を埋めるようにクッションを設置していきます。

肩甲骨が外転して前方突出していて背骨だけがベッドに接しているような場合には
肩甲骨の下もしくは肩〜上腕にかけてクッションを設置します。
背骨だけだと線で身体を支えているような状態ですが
身体とベッドの隙間を埋めるようにすることで面で身体を支えられるようにするのです。

ベッド上のポジショニングでは
身体を面で支えられるようにすることが大切です。
面で支えられずに線で支えているような状態を放置すると
身体が不安定なので安定させようと筋肉が姿勢保持の機能を行います。
すると同じ筋を同じ方向に同じ力で収縮させることになり拘縮の原因となりますし
身体を休めることができませんし
褥瘡発生のリスクを生じさせることにもなります。

仰臥位で上記ふたつを設定しただけで
仰臥位時の筋緊張緩和だけでなく
車椅子座位の筋緊張が緩和するケースも少なくありません。
対象者本来の問題ではなく、環境不適合によってもたらされた身体機能低下
だからなのです。

上記二つをクリアした上で
次にすべきことは
対象者の方それぞれにポイントがありますので
そのポイントを見極めることです。
それは次の記事で。

伝授!生活期のポジショニング(3)まず全身を観察


どうポジショニングをしたら良いのかを、
考えるよりも、まず先にすべきことは観察です。

この、とても大切なステップをすっ飛ばす人って
とっても多いんですよね。
だから、「自分の気になるところだけを表面的に修正しようとする」ような
ポジショニングをしてしまうことになるんです。

まず、全身を観察します。
特に、現場あるあるの下記のポイントを見落とさないように観察します。

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いかがですか?

骨盤が左右どちらかに傾いて身体が捻れていませんか?
その状態のままで股関節を外転させたり膝関節を伸展させてはいませんか?
  
円背があって肩甲骨が外転して前方突出して
背骨だけで身体を支えているような状態になってはいませんか?
身体がコロンと左右どちらかに転がったり
肩甲帯とベッドの間に隙間ができてはいませんか?

まず、最優先で対応すべき部分です。

その後に、優先順位に沿って設定していきます。
その後に、全身のアライメントを観察します。
次に、優先事項に沿って設定していきます。
通常は、筋のリラックス・姿勢保持のための働きを
クッションで代用させるように考えますが
褥瘡のある方や褥瘡予防対応を優先する必要のある方の場合には
そちらを優先させた対応をします。