OTどこでズレたのか:観察

 

 

先の記事で書いたように
かつてのOTは臨床で結果を出すことを第一義としていたと思います。

ところが
いつからか、科学的でない、客観性がないなどの批判を受けて
方法論と結果の客観性、数値化が求められ
エビデンスという言葉が席巻するようになりました。

私は最初のズレがここで起こったと考えています。

そもそも
作業療法は薬物療法とは異なる実践の科学であり、人文科学、観察科学でもあります。
この時に、対象者は unique であるのだから、方法論も千差万別で当たり前だと
はっきりと言明すべきだったのではないかと考えています。

シングルケースデザインは
もっと後になって導入された方法論ですが
症例検討という方法論はすでにありました。

 河合隼雄は症例検討の重要性を強調していました。
 良い症例検討は、症例を超えて分野を超えて学びがあると。
 個の追求が普遍に通じるという記載を読んだことがあります。

実践の科学、観察科学であるからこそ
症例検討をきちんと導入できれば、意義があったように考えています。
ただし、症例検討が有意義に行われるためには
症例の状態像の共有化が為される必要があり
そのあたりが難しかったのではないでしょうか。
(動画で治療場面を撮影するのはもっと後になって導入されたと思います)

観察力って本当に人によって異なります。
さらに、見てはいても知識がないと別の判断をしてしまいがちです。
共有化が為されないままに検討が進むと議論が空中分解してしまいます。

また優秀な指導者がいないと
症例検討を効果的な実践に活かすことが難しいという側面もあります。

そこで
観察力・洞察力を磨くのではなく
数値化された結果の客観性の方向に進んでしまった。
そして、そのためにバッテリーの使用が求められるようになった。
そこから「評価の検査化」が進んでしまったようにも感じています。

もう一つのズレは目標設定です。
これについては次の記事で。

 




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