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服や履物の選択・工夫

 
構成障害があると
上衣を前後逆さまに着たり
下衣を頭からかぶったり
靴を左右逆に履いたり
ということが起こってきます。

構成障害そのものをなくすことはできませんが
服や履物を意図的に選択することによって
適切に着ることを援助することは可能です。

視覚的手がかりを明確なものを選ぶ

対象に語らせる。。。服に着方を語らせるのです。

環境刺激の評価は
実は疎かにされがちです。

やはり、どこかで「認知症だから。。。」と思われているのではないでしょうか。

認知症のある方の能力は、
「できる」か「できない」かではなくて
その間にさまざまな「条件付きできる」があるものです。
例えて言うならば
白と黒の間にさまざまな色調のグレーがあるのと同じ意味です。

一人ひとりの条件を明確にできる
グレーの色調を判別できる
つまり、評価がまだまだ曖昧なのだと感じています。

このことは更衣だけではなくて
すべての日常生活全般にわたって言えることです。

話を元に戻しますが
下の写真の上衣のどちらが着やすいと思いますか?

なぜ、着やすいと思ったでしょうか?

下のTシャツの方が
タグの色と見頃の色が違うので、タグを認識するのが容易です。
また前見頃にはコントラストが明確な文字が配置されていて
「こちらが前よ」と強烈にアピールしています。

構成障害が重度な方でも
下の写真のTシャツであれば着ることができる方は少なくありません。

同じTシャツでも
色とデザインを意図的に選択することができるか否かによって
認知症のある方が更衣動作を自立できるかどうかが異なってきます。

ご家族に「このようなデザインのTシャツが着やすいんですよ」と具体的に伝えることもできます。

認知症のある方が
服を手にして迷い、不安に思う頻度を減らすことができます。

靴の選択も重要です。

履き慣れた靴を履き続けることが一番ですが
施設利用時には、スニーカーなどの用意を求めることも多いと思います。

履き慣れていない靴は、それだけで履く時に緊張をもたらしますが
左右を取り違えて履いてしまう方には
靴の中敷きを変えることをお勧めします。

靴の色とは、全く違う色の中敷きに変更します。
そうすると靴の中敷きが目立ちます。
土踏まずのカーブが視覚的に目に入りやすくなるので
左右の取り違えを防ぐことにつながります。

その方の病状によっては
靴に目立つボタンや紐があると
ひたすらそれらを触って手遊びする場合もあります。

大切なことは
認知症のある方のその時の状態像と
服や靴という環境刺激とを
明確に評価し、適切にマッチングすることであり
それが可能な人材が求められているということです。