ポジショニングを設定したら
まず、することは状態確認です。
設定前に、真横からと足元から
全身を観察し、上下肢の他動運動への抵抗感を確認していますから
設定後にも同様に上下肢の他動運動への抵抗感を確認して
変化を把握します。
きちんと適切に設定されていれば
設定直後から筋緊張は緩和するものです。
さらに日を重ねて筋緊張の度合いはより遠位の筋に及んでいきます。
筋緊張緩和した結果として
良肢位につながっていきます。
順序は逆ではないのです。
最初から良い姿勢を作ろうとすると
筋緊張が緩和されないままなので
見た目良い姿勢を作れたと思っても
クッションを外せば、一気にキューッと
股関節や膝関節が屈曲したり内転してしまいます。
膝の伸展を例にとると
クッションをしているから形としては膝関節が伸展しているように見えても
大腿四頭筋は常に屈曲方向へ収縮し続けているわけです。
筋の働きを変えているわけではなく
見た目だけ膝関節を伸展させているからです。
筋緊張を緩和せずに膝を伸展させているということは
筋の長さは変わっていないのに遠位部を過剰に伸長させるということなので
近位部をその分収縮させることになります。
だから、クッションを外せば一気に近位部である股関節が屈曲し
筋の長さが変わらないので遠位部の膝関節も屈曲するわけです。
こんなことを繰り返していれば
百害あって一利なし
お身体はどんどん硬くなってしまいます。
私たちの不適切な対応と考え方がいけないのに
大多数の人は、
「ちゃんと対応したのにどんどん身体が硬くなるのは対象者の問題」
だから「仕方ない」と思考放棄してしまいます。
ポジショニングとは、見た目を整えることではないのです。
良かれと思って設定したのに
結果が出ない、良肢位保持できない、筋緊張が緩和しない
という時には、ポジショニングの設定が良くないのです。
臥床時のポジショニングは
身体の姿勢保持の働きを休めてリラックスできることが目的です。
良い姿勢にする のではなくて 良い姿勢になる のです。
ポジショニング設定後には
目的が達成されたかどうか、確認が必要です。
私は臥床時のポジショニングを設定したら
必ず膝や上肢を左右に動かして筋緊張の変化を確認しています。
設定直後はもちろんですが
時間を置いて、もう一度再訪し
姿勢の崩れの有無と筋緊張の変化を再確認しています。
誰にでも該当する「正しい姿勢」「正しいポジショニング」
なんてものはありません。
あるのは
「今、目の前にいる方にとって適切な姿勢・ポジショニング」です。
適切かどうか、必ず設定直後と時間を置いてもう一度確認をしています。
ここまでする人は少ないようですが
(自分の設定が適切かどうか、確認しないで不安じゃないのかな?)
設定が適切かどうか、判断できるのは設定者ですから
必ず確認をしていただきたいものですし
再確認の時に姿勢や設定が崩れていたとしたら
どこかに問題があり、その問題を見落としていた、ということなので
もう一度、真横からと足元から全身を観察して設定をやり直せば良いだけです。
その時の観察のポイントは
「どう設定したら良いのだろう?」
ではなくて
「今、何がこの方に起こっているのだろう?」
です。
ここを間違えると
何回、観察したって適切な設定など、できようはずがありません。
食事介助や生活障害、BPSDへの対応とまったく同じなのです。
また、適切にポジショニングが設定されると
時間が経つと設定直後よりさらに筋緊張が緩和されてきます。
枕の高さにも注意が必要です。
設定前に不適切な対応をされていた方ほど変化が大きくなりますから
適切な設定ができていたからこそ再設定が必要になることもあります。
(余分なクッションを外せる)
翌日、3日後、1週間後くらいには再確認をしておきましょう。
ガチガチに硬かった足関節や肘が動くようになることも多々あります。
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