スプーン操作を見直すべき兆候として
対象者の方が開口した時に
舌が奥に引っ込んでいるのは
介助のたびにスプーンを口の奥に入れ続けてきたからです。
通常、開口した時には
舌の先は、下の歯のすぐ裏側に位置しているものです。
ところが
スプーンを口の奥まで入れて食べさせるような介助を続けていると
対象者の舌が奥に引っ込んで
ひどい時には、丸まってしまって
さらにひどくなると
舌は奥の方で上の方にも上がっているという状態になってしまいます。。。
もっとひどくなると
舌が板のようにカチンコチンに硬くなってしまいます。
そんな舌でどうやって咀嚼や送り込みができましょうか。
舌は本来しなやかに動くものです。
しなやかに動くから送り込みがスムーズにできるのです。
「ためこんで飲み込んでくれない人にどう介助した良いか」
という相談をされることも多々あります。
このような言語表現を聞くと
「ためこんでしまう」
「飲み込もうとしてくれない」
という、認知症のある方の食べ方のせいにしている介助者の意識が透けて見えるようで
とても悲しくなります。
「ためこんでしまう」「飲み込もうとしない」
のではなくて
「食べたくても食べられない」のです。
舌がカチンコチンで板のように硬くなっているから。
どんなに重度の認知症のある方でも
最初からこんな食べ方をしていたわけではありません。
だから
このような状態の方でも
適切なスプーン操作を続けるだけで
ちゃんと舌は前に出てきて、丸まってしまうこともなくなります。
板のように硬かった舌が柔らかさを取り戻すことができます。
他の職員とおしゃべりしながら食事介助するなんてことはせずに
ムセの有無や食べこぼししか、気にしていないなんてことも卒業して
対象者の食べ方を摂食・嚥下5相に則って観察しながら介助してほしいと思います。
まずは、口を開けた時の舌の位置に注目してください。
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