老健で勤務していた時から、
看護介護職への情報伝達において
再現性を高めるにはどうしたら良いのか?ということを考えてきました。
リハサマリーも同様です。
リハサマリーの工夫についても書きましたので
よかったらご参照ください。
「具体的に/意味も添えて」 ということが今のところの私の答えです。
そして
もう一つが、自分の問題と先方の問題を混同しないで区分けする。
ということ
どういうことか、説明していきます。
写真のような座り方をしている方に対して
たいていの看護介護職員がすることは
頭の右側を起こそうとしたり、右腕のところにクッションを当てたりすることです。
でも、よく見ると臀部から左へズレてしまっています。
このような時には、臀部の位置を修正すると書いても伝わりません。
なぜなら、そもそも臀部の位置を見ていないからです。
(臀部を見ていれば臀部を修正するはずです)
臀部ではなく、見た目にインパクトのある頭部や体幹を見ているだけなので
臀部の修正をする必然性が伝わらないのです。
1)具体的に
・例えば、臀部の位置を修正ではなくて
どうやったら左右対称になるのか、を書きます。
「臀部を右に戻してから右側肩甲骨の下にタオルを当てる」と
大きめの文字で書きます。
2)意味も添えて
・臀部が左へズレていることや、
頭部の右側の筋肉は短縮しているので傾いていても気にしない
などを小さめの文字で書きます。
大きめの文字で書くのは、してほしいことを明確に伝えるため
小さめの文字で書くのは、スペースの関係と理解よりも
実行を優先しているからです。
3)自分の問題と先方の問題を混同しない
・職員の中には事実を観ずに、かつて受けた誤った教育による刷り込みを信じて
そこから脱却できない人もいます。
例えば、
「強く激しいムセは異物を喀出できるので心配いらない。
むしろ、弱々しいムセしかできない方の方が危ない」と
ムセとは何かということから説明しても
強く激しくムセている方に対して食事中止してしまう職員もいます。
・写真の例で言えば、
臀部の位置を修正せずに体幹にクッションを当て続けたり、
頭を左へ戻すように繰り返し声かけを続ける人も出てきます。
そのような人は他の場面でも似たような言動をしている、
つまりその人固有の問題を抱えている
わけで、そこから先の対応はその人の上司が対応すべき問題となります。
・再現できるように、伝え方を最大限工夫するのは私の責務ですが
全ての人がきちんと再現できるかどうか、その徹底は私の管轄外と言えます。
ここに気がつくまでは長い年月を要しました。
どうしたら、全員に完全に徹底できるようになるだろうか?
と悩んだ時期が相当ありました。
・脱却できたきっかけは、
リハと看護介護の情報伝達において問題が生じる時には
必ず看護介護の中でも
情報伝達の問題を抱えているということに気がついたからです。
単に、リハ職が伝達徹底されていないことに
気が付きやすいだけだということを認識できたからです。
つまり、看護介護の管理責任者がすべきことであって、
リハ職としては現状報告や相談をしても
解決策を考えるのは管理責任者の仕事だということです。
(管理責任者もいろいろな人がいますが 。。。)
いくら、リハに関することとは言え、
管理責任者がすべきことまでリハ職が肩代わりすることは
ありません。
事実の認識と事実への対応を明確に区分けすることを私は学んできました。
リハ職としては、情報発信者として最大限明確に具体的に伝える。
もう一つは、
対象者の能力が最大限発揮できるようにリハを頑張るということです。
対象者の能力が底上げされれば、問題を最小化することが可能となります。
重度の認知症のある方でも、それだけの能力があります。
全員で方法を徹底できないから
認知症のある方の状態像が改善できないということではなくて
認知症のある方にピンポイントで的確な対応ができる人がいないから
状態像が改善できないということなんだと思います。
(もちろん、他の疾患と同様に状態像によってはできないこともあります)
過度に情報伝達にこだわることなく
伝達の徹底や完全性にこだわることなく
たった一人で良いから、的確な対応ができる人がいること
その最初のひとりになることを目指すことの方がずっと大切です。
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