?「刺激がないと認知症が進行する」

  


現場あるあるの根深い誤解
「刺激がないと認知症が進行する」
「何かやらせないと」
「できることない?」

ヒトの筋肉は
動いている部位だけが働いているわけでなく
静止していても姿勢保持のために働いているように

認知症のある方が
何も言わないからといって何も考えていないわけではありません。

その場面場面で
どのように状況を判断しどのように対処しようとしているのか
行動というもうひとつの言葉を通して聴くことができる人は
冒頭のような言葉を言えないし言わないと思います。

善意からであったとしても
不適切なことをやらせて結果として逆効果になることは多々あります。

地獄には善意が満ちているが、天国には善行が満ちている

やればいいってものではありません。

その代表例がゲームであり、塗り絵です。

ゲームはルールがあります。
ゲームを楽しめるためには
(1)ルールの説明を聞いて理解し
(2)説明されたルールを覚えておき
(3)ルールに従って行動できるという
近時記憶障害のある方には高度なメタ認識を要請されます。

ペットボトルボーリングのように
「投げる」という簡単な行動だから
認知症があってもできるだろうと考える人は多いようですが
そして確かに実際「投げる」ことはできたとしても
マンツーマンで行うゲームではありませんから
待ち時間の長さに何をしていたのか忘れてしまう方も多いのではないでしょうか。
(もちろん近時記憶が保たれていたり、
 他者を応援することを楽しめる方もいますが)

塗り絵もケアやリハで多用されているActivityですが
自身の行動の結果が明確に現れるので
表現を楽しめる、丁寧に行う特性のある方には良くても
仕事づくめの一生だった方は遊んでいるようなことは罪悪感や抵抗感があったり
大雑把な性格の方は塗りつぶしが多くて見た目が残念なことを感受して嫌になったり
ということも往々にして起こります。
 
「認知症が進行しないように塗り絵をしましょう」
と言って「やらせる」ことに違和感や抵抗感を抱いている人もいると思います。
でも何がどう良くないのか、他にもっと良いことを提案できないから
口をつぐむしかない。。。
悔しいですよね。

そんな時はぜひ
「Activityの選択・工夫について」 をご参照ください。

私が奨励するのは、課題集団ではなくて並行集団です。
同じ時間と同じ場を共有するけれど個々それぞれ異なるActivityを行う方法です。

参加される認知症のある方自身が
いろいろな人がいるんだな、いろいろなことをやるんだな
ということを体験を通して感じることができます。

何もみんな揃って同じことをする必要はないんです。

「やる」「やらせる」ことのデメリットについて
もっと検討されて然るべき時期に来ていると考えています。








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