喉頭不完全挙上はスプーン操作を見直すべき

 


食事介助の時には
必ず喉頭の動きを毎回眼でみて確認しています。

人によっては喉頭の複数回挙上もかなりありますし
喉頭の不完全な挙上でムセずに食べているケースもよくあります。

眼で見て確認せずに食事介助するなんて
とても怖くてできません。

喉頭挙上の動きは、何の働きを見ているのかというと
喉頭蓋反転の動きを観ているのです。

 

喉頭が完全に挙上していないということは
喉頭蓋が完全に反転できていないということを意味しています。
詳細は「 摂食・嚥下5相 」をご参照ください。

食事介助の現場では
ひどいムセがないのに痰がらみがひどくなったり
誤嚥性肺炎になったりする方が必ずいるものです。
 こういった現実からも
 ムセだけに過剰に反応するのは意味がないということに
 気がついてほしいものです。

喉頭蓋が完全に反転していない
気管が完全にふさがっていない状態で
どんどん食塊を口の中に入れられたら
いったいどうなってしまうのか。。。

「 ムセない=食べ方はOK 」という誤解から
脱却する人が1人でも多くなることを願っています。

身体は構造としても生理学的にも連続性がありますから
スプーン操作の基本
・下唇もしくは前舌をスプーンの背で押す
・上唇が丸めてとりこむのを確認
・スプーンを水平に引き抜く
を実行してもらえば、
喉頭の不完全挙上がなくなり、完全挙上するようになるケースに
きっと遭遇できるはずです。

また、
上の歯でこそげ落としたり
スプーンを斜め上に引き抜くと
どうしても顎が上がってしまいます。
下の写真のように頚部後屈してしまいます。

このような状態だと
喉頭の移動距離が長くなってしまい
結果として、完全挙上できないということも起こります。

適切なスプーン操作をしていても
対象者が頚部後屈した状態のままで食事介助をしていたら
同じように喉頭の移動距離が長いために喉頭が完全挙上できない
ということも現場あるあるなので
「 頚部後屈してしまう方の食事介助 」を参考に試してみてください。

たとえ、重度の認知症のある方でも
食べ方が改善されるケースの方が圧倒的に多いのです。
もし、改善がないとしたら
もう一度「 スプーン操作を見直すべき兆候 」を確認してみてください。

やり慣れた行動、動作を違う方法に切り替えるというのは
口で言うほど簡単なことではありません。
コロナ禍の前には、日本全国各地で講演をしていました。
食事介助の研修会では、お話するだけではなくて
できるだけ、参加者間の実技を導入するようにしていました。

私の説明をうん、うん、とうなづきながら聞いていた人でも
実際に実技となると、なかなか修正できない人は少なくありませんでした。
それだけ、やり慣れた行動を違うカタチに切り替えるということは
難しいものなのです。

でも、メゲずに継続してください。
必ず、切り替わります。
重度の認知症のある方でも切り替えられるのです。

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