精神科作業療法、OT:臨床の能力を向上させるには

精神科作業療法士の方へ、どのような作業療法を行うべきか、私には具体的なアドバイスは殆どできません。
実際にやっているところを見たり、話を聞いたりすれば、指導できることもいろいろあると思いますけど、見ても聞いてもいないのにここに書けと言われても無理です。
私も昔、精神科作業療法をやってはいましたが、その意味で作業療法士失格人間です。それもあって辞めたわけですが。

そんな私が精神科作業療法に携わっているOTの方々に対して「臨床の能力を向上させるにはどうしたら良いか」を教える資格なんてない、と思うかもしれませんが、私はその方法を知っているので以下に述べる次第です。

OT以外でも精神科医でも臨床心理士や心理カウンセラーに対しても同じことで、そういう意味では私よりも指導者として優れた相応しい人もいないかもしれません。

とりあえず、基本の基本を以下に述べたいと思います。

精神疾患の原因は心的外傷であり、「全ての精神疾患は複雑性心的外傷後ストレス障害PTSDである」ことを徹頭徹尾理解して、血肉とすべく徹底的に身につけ、その上で患者に接することです。

複雑性心的外傷後と言う意味は、1)幼児期からの(主に養育者から受けた)心的外傷(トラウマ)と、それによる精神的発達の未熟さと、2)ある程度年齢が行ってからの(主に思秋期以降)犯罪被害、イジメ、パワハラなどのストレスや、不適応による精神的挫折など、その他いろいろな精神的問題によるトラウマが複雑に複合的な原因になって発症していることです。

心的外傷後というのは外傷体験が終わった後でも、脳内もしくは精神内界ではいつも繰り返し生じていることで、実際には現在も続いており、外傷は拡大していいかも知れません。特に家族と一緒にいる人は。

図式的に言えば、前者は原因としてのトラウマ、後者は誘引としてのトラウマと捉えても良いかと思います。

前者は暴力・遺棄といったと虐待ももちろんありますが、精神的虐待、言葉の暴力でさえない、療育者(殆どは親)の接し方や環境の問題でもあります。
「人はパンのみにて生くるにあらず」

そうは思えない「精神病は脳の病気」だという人も、もちろんいるでしょうけど、そうした考えはテッテ的に排除し、心底から(ホントのことを言えば無意識のレベルから)「全ての精神疾患は複雑性心的外傷後ストレス障害PTSDである」だと思わなくては治療はできません。

間違った考えにではむしろ悪化させることも多く、実際にそうしている精神医療従事者はいくらでもいます。というよりも、ほとんどの人が現場では多かれ少なかれそうしているのかもしれません。
現状の精神医療の臨床的成果の乏しさをまず認めるべきです。

「精神病は脳の病気」というのはただの迷信で、もはや仮設にもなっていません。そう思ったり考えるだけでも有害です。百万歩譲って「脳の病気」だとしてもOTにはもちろん、精神科医や臨床心理士にだって脳が治せるわけではありません。

精神と脳の機能が不可分一体であることを前提に、精神疾患と中枢疾患を切り分けることに成功したのが20世紀の精神医学の最大の進歩ですが、多くの精神医学者はこのことを理解できず、何の根拠もなく何でも脳のせいにした大正時代に戻ってしまいました。
病院も癲狂院(なんだかわからないが気違い)→脳病院(頭がおかしい脳の病気)→精神病院(精神、心の病)と一応進化したはずなのに後退甚だしい。

脳の病気ではなく精神の病気だから精神病なのです。
もちろん脳の状態や働きは良くないですが。精神病は器質的ではなく、機能的な疾患です。そこを皆、理解せず曖昧にいい加減に恣意的にしてしまった。
ミソもクソも一緒である。もちろん合併することはあるし、似た症状はいくらでもありますが全く別物で、そこは区別できなければなりません。

脳の病気の症状は精神疾患にはありません。逆に精神疾患には脳の病気の症状はなく、普通の人にもあるものだけです。平たく言えば差は激しくとも程度問題で、もちろんいろいろな傾向もありますが、人間の精神はそういうものです。

「幻覚・妄想なんて健常者にないだろ」と思うかもしれませんがもちろんあります。もしくは乳幼児期にはあったことです。反感を持つ人は精神分析、精神発達など徹底的に勉強して下さい。
とりあえず長くなるのでそのことについては稿を改めるとして、ここでは触れません。

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精神疾患を「脳の病気」としてしまえば、薬漬けにしたり脳を破壊したりで、もちろん治療どころではありません。
私はそういう人は患者に近づいてはならないと思います。近づいただけでも、一時的ではあれ、程度はともあれ(器質的にではなく)脳の機能を破壊します。
要するに精神の不調をもたらし、患者は具合悪くなる。悪くなりっぱなしかも知れませんけど。
そのような考えの人がこうしたことに気づいていることは、ほぼありえませんが。

そんな滑稽なことはあるかっ!と思う人もいるでしょうけど…
貴方が、例えばある人と1カ月の海外出張や旅行に行くことを考えてみましょう。
Aさんと行けるのは思っただけで楽しみ、ウキウキ・ワクワクするけど、Bさんと行かなければならないとすれば、考えただけで病気になりそう、実際に行く前から病気になってしまう、ということもありうるはずです。
海外旅行は大好きだし楽しいし行きたいけど、Bさんと行くくらいなら病気で寝ていたほうがマシ、かも?

基本的には相手にとっても同様かもしれませんが、この場合Aさんはさほど楽しみではなかったり、Bさんは嫌がるどころか楽しみにしているかも知れません。
Bさんの場合は貴方の気持ちなどわからず、気にもしていないでしょう。
Aさんのような人は相手に対する理解や配慮もあるでしょうけど、Bさんのような人は相手のことを理解せずわかったような気になって、しかもそれに自信を持っていたりします。

繰り返しますが人間、一緒にいるだけでも大きな影響力があります。患者さんに於いておや、尚の事です。
いるだけで有害な人も居るだけで善い人もいますが、実際には前者は有害な行為を、後者は良い行いもするはずです。
特に患者と子供には邪悪な人間を近づけるべきではありませんが、なかなかそうは行かず、子供好きの親や精神医療従事者や心理カウンセラーが邪悪であることも屡々です。

基本がわかれば応用はいくらでも効きます。
逆に何もわからずに「精神病は脳の病気」として、ただの便宜的な分類に過ぎないDSMなど覚えたりして、それを適用してわかったようになるなんて遇の骨頂でトーシローの考えです。
OTでそんな人は殆どいないと思いますが、今はどうだか?むしろ精神科医がやっていることですが。
そこから患者にとって有益なことは何も生まれない。

とりあえず参考にすべき本を挙げておきます。せめてこのくらいは読み込んで下さい。
精神医学の良書は少ないです。ハッキリ言ってくだらない本を読むのは時間や労力のムダばかりでなく、臨床家としての成長を阻害します。これらの本を読んで理解し身につけると、臨床的にも格段の向上が得られるはずです。一字一句暗証するくらいの価値はあります。

心的外傷と回復 〈増補版〉 ジュディス・L. ハーマン みすず書房https://www.amazon.co.jp/dp/4622041138/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_TAYQ1T7MXCQ8QBVQDPW9

現代精神医学の概念 ハリー・スタック・サリヴァン みすず書房
https://www.amazon.co.jp/dp/4622021919/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_CAATVFACY8MT2Q7XJC6E

人間関係の病理学 フロム・ライヒマン 誠信書房
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