本の紹介:セルフ書評


自分で書いた本を自分で書評してみます (^^;

この本の画期的なところは
1)現行の方法論の問題点について明確化・言語化している
2)問題点を踏まえて改善提案をしている
3)表面的な方法だけでなく、応用・一般化できるように思考過程を明確に提示している
4)上記を理解しやすいように、事例をもとに説明している

認知症のある方への対応について、現状は
・総論や理想論を熱意を持って語るが、具現化の術についての言及がない
・こんな時にはこんな風にするといいよ、というハウツー手法の言及にとどまっている
といったところではないでしょうか。

どんなに優しく、否定せずに、接しても
それだけでは効果がないことは、本当に実践してみた人はわかっているはずです。
現行不一致で平気な人は、悩むことがないのでしょうが
真摯な人ほど、おかしいことに気がつきます。
ところが、周囲にそのおかしさを自覚できる人が少ないと
自分が未熟なだけなのか?と疑問を感じ、自分を責めるようになります。
努力が足りないのではなく、努力の方向性が違右だけなのです。

認知症は脳の病気だから

一部の人は、現行の常識とされている対応に疑問を抱きますが
どこがどうおかしいのか、言語化はできないので他の人と共有することが難しくなります。
はっきりとおかしいと感じることができても
改善提案ができる人は限られます。
その改善提案も、単にAさんにやってみたら良かっただけではなくて
Aさんは〇〇という状態だから△という能力を発揮できるように⬜︎という環境調整をした
まで明確化できる人はさらに少なくなります。
そして、Aさんへの対応、Bさんへの対応、Cさんへの対応を踏まえて
それらを抽象化一般化して考え方の道筋を明確化できる人は、もっと少なくなります。
正直にいって、非常に少ないと言えるでしょう。
そこまでを言語化しているのが、この本です。

この本は、いわば未来を先取りしています。

この本を手にとっても、単に表面的にハウツーだけを読み取られてしまうかもしれませんが
少数の人は、確実に本の中で問題提起を読み取ってくださり、
自身の実践をブラッシュアップさせてくださっています。
そこから、世界が変わっていきます。
「こういう本を待っていた!」
「めちゃめちゃ刺さった(内容)」というご感想をいただいています。

NHKのEテレ きょうの健康
「認知症新時代 診断後も社会と共に生きる」
https://one.nhk/www.web.nhk/tv/pl/editorial-tep-WB1IMJLHBE/ep/Z29KG9I41D
という番組で紹介された、洗濯機の使い方は
私が10年以上前から各種研修会やセミナーで提案してきたことです。
私の実践と提案が10年以上経って公共放送で紹介されるのは、感慨深いものがありました。

私が30年以上前から提唱してきた、
生活期にある方の食事介助において、スプーン操作が大事ということも
スプーンテクニックという言葉と共に、今はずいぶん広まってきているのと同じように
家電製品の使い方のアイデアもこれからきっともっと広まっていくでしょう。
そして、この本で提唱していることも
今はまだ知る人ぞ知るくらいしか、伝わっていなかったとしても、
本当に革新的な内容なので、確実に後世に伝わって残っていくことを確信しています。

ハウツーの当てはめで満足できている人には向かないかもしれません。
そういう意味で、この本は役立てられる人を選ぶ本だと言えるかもしれません。
必要な人に届いてほしいと願っています。
あなたが悪いんじゃない。
努力の方向性が違っていただけで、こちらの方向で努力すれば今までとは違う現実を目の当たりにすることができると伝えたい。

疎通困難な方への対応


疎通困難な方に対応していると
だんだんと疎通が改善されることはよくあります。

ポイントは、言葉に頼らない。
言葉以外の非言語的理解を確認しながら
自身の非言語的表出をコントロールするということと
要所で明確で端的な言葉を使うということです。

そして疎通困難な方の移乗やトイレ介助、入浴場面などで
声かけをしても理解できないとすぐに動作介助をしてしまいがちですが
声かけをして理解できない方には、視覚的な情報を提供することがポイントとなります。
この時に、認知症のある方がこちらが指し示したところを見てくれたかどうかを確認しながら
次へ進むことが重要ですが、案外現場ではこの部分が抜け落ちています。。。

介助が身体を通したコミュニケーションではなく
〇〇させる、ことになってしまっています。
食事介助にしろ、移乗介助にしろ、口腔ケアにしろ
認知症のある方が〇〇するのを援助する のではなくて〇〇させてしまっている。
当然、そこに拒否が生じます。
すると、介護拒否というレッテルを貼られて悪循環に陥ってしまう。。。

本当にもったいない。
次からの記事で具体的に
現場あるあるの改善提案について書いていきます。

口腔ケアを拒否する方への対応

認知症のある方に
口腔ケアをしたくても、口を開けてもらえなかったり、嫌がられてしまったりして
どうしたら良いのか困ってしまうことも多々あるようです。
無理やり介助して指を噛まれてしまったり
意思尊重という名目で口腔ケアを疎かにしてしまうことに疑問を抱いても
じゃあ、どうしたら良いのかわからないと
対象者の方に申し訳ないし、自分自身も辛くなってしまうと思います。

現場あるあるで案外自覚されていないこちら側の介助の仕方に問題がある場合についてご説明します。これはもう今すぐにでも改善できてしかも効果がすぐに現れます。
それは、「歯磨きをしましょう」という声かけは確かにしているけれども
声かけと同時に既に歯ブラシを口の中、しかも奥歯のあたりに突っ込んでいるという介助の仕方です。
これでは拒否されて当然だと思います。
忙しいのはわかりますが、そんなやり方をしていたらかえって時間も手間もかかりますし、
認知症のある方も嫌な思いをするし、職員だって何も良いことがありません。
  
認知症のある方に関わるどの職種も今は本当に忙しいです。
余裕を持って働けている人などいないと思います。
余裕がないと口腔ケアっておざなりにされがちなケアでもあります。
しないことによるデメリットが直後に目に見える形では現れにくいからです。

だからといって、口腔ケアをしないことやぞんざいな方法でケアをすることはとても肯定できません。

問題は、認知症のある方への対応全般が「優しく・否定しない」などといった心理的な接遇面に偏っていて、実際の現場での困りごとと乖離していることにあると考えています。
言語理解力が低下している認知症のある方も大勢いますが
BPSDがないとそれらの認知機能障害について見落とされてしまうことがあります。
認知症のある方の状態像を的確に把握できないために適切な対応ができずに
結果として認知症のある方の生活障害を改善できないでいるとしたら
まず、すべきことは認知症のある方の状態像を把握することなのです。
そして、認知症のある方の状態像を把握するためには、まずこちらが適切な対応ができることが必須です。

多くの人が疎かにしている、でも、実際にとても重要なことは
口腔ケアをする前にきちんと正面から認知症のある方の名前を呼んでアイコンタクトをとることです。
この時の口調と表情も重要です。
口調がキツければ、受け取る側が身構えて当然です。
穏やかな口調で名前を呼びかけます。
この時にマスクをしているからといって自身の表情に気をつけない人もいますが
マスクをしていても、ニッコリと笑顔で呼びかけましょう。
「あなたに用事があるけれど、悪い用事ではない」
ということを自身の声のトーンと表情で伝えるのです。

アイコンタクトがとれたら
歯ブラシを目の前に提示します。
歯ブラシを見たことを確認してから
歯ブラシを横に動かすジェスチャーをしながら「歯磨き」と言います。

ここで大切なことは順序です。

認知症のある方は、生きている限り能力を発揮しています。
私たちの声かけや動作介助は本来は
認知症のある方の周囲の感受・認識・対応といった一連の過程を援助するものだからです。
 
歯ブラシを提示し目で見てもらうことで
認知症のある方の視覚的理解力に働きかけます。
私たちには周囲のたくさんの対象がある中から無意識に注意を選択し、注意を向けることができているので気がつきにくいものですが
認知症のある方だって周囲の多数の対象を目で見ています。
最初に声かけという聴覚情報だけを提示すると多数の対象の「何」に注意を向けて良いのかわからないこともあります。
だから、まず最初に注意を歯ブラシに「だけ」向けやすいように、歯ブラシを提示するのです。
これだけで「あぁ、歯ブラシだ→歯磨きするのかな?」と認識できる方も大勢いますが、そうでない方もいます。

だから、次に目で見てもらった歯ブラシが「何をするものであるか」ということを
横に動かすジェスチャーをすることで、視覚的情報で再認(目で見ることで思い出す)を促します。
さらに、聴覚情報という声かけで「歯磨き」をするものだということを伝えます。
ここまでの関与で開口に協力していただける方も大勢います。

一方で、まだ開口できない方もいます。
そのような方には、体験を通して思い出すことを促すために
嫌がられない範囲で、見えている歯をブラッシングしていきます。
最初は、下の前歯だけブラッシングするとだんだんと歯ブラシを奥に向かって動かせることを感じるようになります。
「歯を磨くとお口の中がスッキリします」と感覚に働きかける声かけをしながらブラッシングを続けると奥歯の上まで磨けるようになります。
奥歯の上側を磨けるということはかなり口を開けられるようになっていることを意味します。
すると、歯の裏側や上の歯までブラッシングしている間、こちらが何もしなくても開口保持してくださるというのは、とてもよくあることです。
そうなったら「そうです。そのまま口を開けていてください。」「ありがとうございます。そのままお願いします。」などという声かけをします。

つまり
認知症のある方が口腔ケアに協力してくれない という問題設定をしてどうしたら良いのか
と考えるのではなくて
認知症のある方に口腔ケアをするのだ ということをどうしたら伝えることができるのか
という問題設定をした上で
どういう感覚情報を提供したら感受しやすいのか、認識しやすいのか
ということを介助という体験を提供しながら観察することで情報を収集し
同時に収集した情報に基づいて提供する体験を変更していく という関与が必要なのです。

もっとはっきりいうと
認知症のある方の問題ではなくて、関与する私たちの対応の問題だということだと考えています。
そして、私たちの対応の問題だということを自覚し、事実に基づいた改善提案をできる人が
今まで少なかったことが最も大きな問題だと考えています。

それは、一つには私たちが養成過程において(あるいは自身の成長成熟の過程において)
課題解決として、ハウツーの当てはめばかり教わってきたということ
考える過程において、根拠とすべきは目の前にいる認知症のある方の言動に反映されている能力と障害にあるということを教えてもらってきていないこと
つまり、教える立場にいる人がハウツーで課題解決をしてきたからそれ以外の方法を教えることができない。そして学ぶ立場にいる人もハウツーで課題解決することしかしてこなかったから疑問を抱くことができないという本質的な問題が認知症のある方への対応困難というカタチで立ち現れているの
だと考えています。

問題の本質は非常に根深いものがあると感じていますが
科学は過去の知識の修正の上に成り立つ学問です。
きっとこれから先、未来において、認知症のある方への対応も修正されていくものと確信しています。
憚りながら、私のこのサイトや著書やその他論文や講演で言語化していることと臨床現場での実践が
一石を投じ、修正の一助になるであろうことを内心誇りに思っています。



Medical MARKSTARさんのオンラインセミナー開催のご案内


2026年10月1日(木)19:00~21:00と
10月15日(金)19:00~21:00に
Medical MARKSTARさん主催のオンラインセミナーが開催されます。

詳細とお申込は こちら からどうぞ。

DCゼミ第14会勉強会開催のご案内


2026年10月31日(土)19:00〜20:30に
(誤って別日で掲載していましたが、正しくはこちらの日時です。申し訳ありませんでした。)
おだわら市民交流センターUMECOの第7会議室にて
第14回DCゼミ勉強会を開催いたします。
テーマは「意思疎通困難な方への対応」について
参加費は500円
事前申込制です。
お申込は こちら から。
お問い合わせは こちら へお願いします。

SDATアルツハイマー型認知症のある方であっても
言語理解力が低下することは、よくあることです。

接遇の面から
丁寧な説明を心がけているだけだと
かえって「何を」「どうする」のかを伝えることができない
ということは多々あります。

敬語というのは
どうしても表現する言葉の数が多く(長く)なりがちですし
婉曲な表現も多いからです。

敬意を表しようとすることは悪いことではありませんが
最優先は認知症のある方の日々の暮らしの困難を少なくすることです。
良かれと思って敬語を使ったのに、かえって混乱させてしまった
という体験をしている人はきっと少なくないはずなんです。
(敬意の表現の仕方については別の記事で書いていきます)

じゃあ、どうしたら良いのか

言語理解力が低下したとしても
声かけの工夫によって理解できることは増えてきます。
詳細は、当サイトの「声かけの工夫さまざま」 をご参照ください。

今回は、認知症のある方が周囲の状況を感受・認識する際に使っている
声かけという聴覚情報以外の感覚情報の提示の仕方の工夫についてや
意思疎通困難な方にどうリハやケアを提供していくかに加えて
バリデーションの紹介もちょこっとですが行います。

対応の工夫について
「ちゃんと説明する」の「ちゃんと」がどういうことなのか
誰にとっての「ちゃんと」なのか
再考できるきっかけになると思います。

「これからの精神保険医療福祉を考える会院内集会」開催のお知らせ

    

まだ、ご参加いただけるそうです。
ご興味のある方はぜひご参加ください。

「精神看護9月号 今月の5冊」で紹介


医書.jpでご覧いただけます。
https://webview.isho.jp/journal/detail/pdf/10.11477/mf.134327610290050433

「精神看護」編集室ご担当者様
取り上げてくださり、どうもありがとうございますm(_ _)m

結果を引き起こしている必然を把握する 3


口腔ケアを拒否する方もいます。

すると
言葉で丁寧に説明したり
明るく元気よく声かけしたり
下手に出るようにお願いをしてみたり
それでもダメだと口腔ケアを無理やり行ったり
口腔ケアすることを諦めてしまう。。。
というパターンが多いようです。

口腔ケアをしようと
関わり方を工夫してはいますが
それは誰にとっての工夫でしょうか?

認知症のある方に接する職員で多いパターンが
認知症のある方が環境把握しようとしている
ということを見落としているというケースです。

心のどこかで
認知症=何もわからない=やってあげる
と思っているのではないかと思います。

認知症のある方の言動をよく観察すれば
認知症のある方が周囲を把握しようとし、対応しようとしていることに気がつけます。

だとしたら
周囲を把握するチカラを助ければ良いだけだし
どう対応したら良いのかということを
声かけという認知症のある方にとっての聴覚情報だけでなく
他の情報も添えて提供するだけです。

案外、疎かにされがちで
でも、最も大切なことは、まずアイコンタクトをとることです。
アイコンタクトをとる時には
笑顔で
穏やかな口調で
相手の名前を呼びかけます。

ここで大事なことは、口調です。
急いていると、つい口調も気忙しくなってしまうものですが
口調に反映されてしまうこちらの感情に対して
認知症のある方が反応しているということはよくあることです。
自身の口調、声のトーンをコントロールできるように
穏やかな口調で呼びかけるようにしましょう。

次に
歯ブラシを見せて相手が歯ブラシを見たことを確認します。
視覚情報を提示して、相手の視覚的理解力に働きかけます。
歯ブラシを見たことを確認してから
「歯磨き」と言って歯ブラシを横に動かします。
ジェスチャーという視覚情報を提示することで
「これから歯磨きをする」ということを伝えます。
そうすると、開口してくださる方はとても多いものです。

ここで大切なことは順番です。
相手が見る、つまり視覚的理解力を発揮したということを確認してから声かけする
その声かけは端的明確に単語中心に声かけをします。
相手が環境を感受するのが先
その感受を補うのが声かけという聴覚情報であり
歯ブラシを横に動かすジェスチャーという視覚情報を提示することなのです。

視覚的理解力が困難な場合には
触覚情報を提供します。
歯ブラシの先で優しく口唇をちょんちょんと触ります。
そして「歯磨き」と声をかけます。

介助する時に声掛けを丁寧に行うのは良いことですが
問題は、目の前にいる方がどのような声かけであれば理解できるかを
こちらが把握できていることです。
声かけの理解が難しそうという判断ができれば
声かけという聴覚情報の提供ではなく
視覚や触覚といった他の情報も添えて働きかけます。

声かけという、聴覚情報にこだわるのではなく
目の前にいる方が理解しやすい感覚情報を提供しましょう。

決して
相手の反応を確認もせず
「歯磨きしますよ〜」と声をかけながら
既に歯ブラシは口の中ということのないようにしたいものです。

「精神看護9月号」今月の5冊で紹介されました!


医学書院さんの「精神看護9月号」今月の5冊というページで
拙著「認知症のある方の能力を活かす」が紹介されました!

もう少ししたら、「医書.jp」でも見られるかもしれません。

結果を引き起こしている必然を把握する 2

認知症のある方や高齢者のせん妄予防対応として
日中過ごすお部屋を明るくすることは常識となっていますが
実際の現場では、なかなか実現が難しいこともあるようです。

例えば
現場あるあるなのが
日中お部屋の明かりをつけてと言っていっても
「明かりを消して」って言われる。
お部屋の明かりをつけるのは嫌なんだと思う。
というケースです。

このケースの問題はいくつもあります。
1)近時記憶障害がどんな風に現れるのかわかっていない
2)「明かりをつける」メリットがその方の認識に沿って説明されていない
3)障害を好き嫌いとすり替えて判断される

つまり
1)については
仮に「日中は明かりをつけておく」ことをその場は了承してもらえても
近時記憶障害があると、時間が経つと忘れてしまいます。
現場あるあるなのは、「その場のお話がちゃんとできる方=認知症じゃない」と思っている職員が
まだまだ多いということです。

当然、相手に認知症がないと判断(誤認ですが)していれば
訪室するたびに「明かりを消してほしい」と言われれば
「あぁ、この方は明かりをつけておくのが嫌なんだな。」
「この方の意向を尊重して明かりを消してあげよう。」
と、善意からであったとしても、誤った認識に基づいた誤った対応をした結果
過活動型せん妄を起こしてしまった。というケースもありました。

過活動型せん妄に対しても
その場の表面的な対処しか為されないと本質的な改善には至らないものです。
ここで、その方の認識に即して説明することが求められます。
2)に関する対応です。

日中部屋の明かりをつけておくことに対して
人によっていろいろな理由があります。
Aさんは、「まぶしいから」
Bさんは、「お金がもったいないから」
Cさんは、「ずっと昼間は明かりをつけずに過ごしてきたから」
明かりを消してほしい理由は三者三様なので
その方の理由に即して対応します。

Aさんは、ベッドを真っ平らにして過ごしていました。
ベッドの真上にある電灯を点灯すれば、お顔に明かりが当たってまぶしいのもわかります。
そこで、ベッドをギャッジアップしてお顔の真上から明かりが当たらないようにしました。
Bさんには、「電気料金は施設持ちであること、
      施設の考え方としてお部屋を明るくして足元が危なくないように過ごしてほしい」
ということを伝えると「あぁそうなの。悪いねぇ。どうもありがとう。」と了承してもらえました。
Cさんには、「そうなんですね。日当たりの良いお部屋だったら明かりをつけなくて済みますものね。
      でも、このお部屋はきっとCさんのお家ほどには日当たりが良くないので
      健康のためにも明かりをつけさせてくださいな。
      日中明るいところで過ごすと健康に良いんですって。」
と伝えると「あら、そうなの。知らなかったわ。どうもありがとう。」と了承してもらえました。

その方が「明かりを消してほしい」と思う必然に沿った説明が必要なのです。

そして、近時記憶障害は障害なので解消されることはありません。
その場で了承してもらえても忘れてしまいます。
忘れてしまうことを問題視するのではなくて
忘れてしまったら繰り返し説明をするしかないのです。

ところが、現実には
「明かりをつけさせてくださいね。」と言うだけだったり
元気よく明るく言ったり、下手に出てお願いしたりという風に
工夫はされていても、認知症のある方の立場に立った説明とは少しズレた対応が為されがちです。
だから、うまくいかない。
そして、近時記憶障害があるから時間干渉によって忘れてしまうという認識もないと
好き嫌い、意思表示と誤認してしまいます。
その結果、せん妄を起こしてしまい、的確な対処もできないということが起こりがちです。

善意から一生懸命関わっていたとしても知識をもとにした観察ができないと
自身の見立てや対応について自省が生じにくい
という問題が起こります。

本当にもったいない。

知識がなければ、今、認知症のある方に目の前で起こっていることを理解することができません。
見れども観えず、で見落としてしまいます。
自身の言葉や非言語的表現も的確に選択することができません。

まず、視点を変換させて
イマ、ココで、認知症のある方が環境をどのように感受し、認識しているのかを
きちんと観察・洞察することから始めましょう。

表面的に慣習的に行われていることを卒業しましょう。