食べ始めの方によく使うのが
ネスレの「アイソカル100」です。
適用可能な方は
1)痰がらみがない
2)喉頭が完全挙上できている
ここで大切なことは
ムセの有無ではなくて喉頭の挙上の動きです。
3)冷水3ccで喉頭完全挙上して飲み込める
「アイソカル100」の良いところは
1)水分と栄養を同時に摂取できる
2)1回量が100mlと少量から摂取できる
3)なじみの味がそろっている
4)複数の味が選択できる
5)ごくうっすらと粘性がある
6)ストローがついているので自力で吸って飲みやすい
7)紙パックなので押して介助も可能
実際に使う時には
たいていの方は自力摂取できるので
無理な連続飲みをしない限りは
その方のペースで飲んでいただけるように
紙パックを手に持って飲んでいただきます。
自分で摂取するのが一番安全です。
食事や水分の介助というのは、本当はとても難しいものです。
難しくないという人は、実は対象者の方に合わせてもらっているので
難しさを感じないで済んでいるだけです。
飲食するペースというのは
究極の手続き記憶でもありますので
現場あるあるの「早食いの人」を遅くゆっくり食べてもらうように行動変容を促すことは非常に難しいものです。
この場合には早食いでも安全に食べられるように食事形態や食具などの環境設定するという方策を検討することになると思います。
認知症のある方や生活期にある方の中には
喉頭の複数回挙上によって完全嚥下している方も少なくありません。
ご自分のペースで摂取していれば自然と身体が調整できているものですが
介助者が喉頭の動きを観察確認せずに介助してしまうと誤嚥・窒息の恐れがありますし、その場では何の問題も感じられなかったとしても(問題が存在しないわけではない)長期的には食べ方の混乱・低下を来す要因となってしまいます。
「食べる」「飲む」という
その方の行為をその方なりのループで完結できるように援助する。
直接的な介助だけが介助ではありません。
間接的な介助、食形態や食環境の設定が適切にできるということも、とても重要な介助です。
(現場あるあるとして、適切に間接的な介助をできるということは案外難しいのではないかと感じてもいます)
認知症のある方に限らず、生活期にある方の中には
嚥下ピラミッドが当てはまらない、逆効果となってしまうケースがあります。
咽頭期そのものには実は問題がなく
口腔期に問題があるというケースです。
その多くは
体力低下などによって起こる舌の易疲労です。
このようなケースで
粘性の高い食形態を提供すると
かえってうまく送り込みできず
持っている本来の咽頭期の能力を発揮できないということが起こってきます。
「ムセたらトロミ
トロミをつけたのにムセがあれば、もっとトロミ」
という形式化された対応が為されていることが現場あるあるです。
きちんと嚥下5相にそって観察していれば
「ごくうすいトロミをつけて提供する」という方法を選択できるようになります。
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