手指の屈曲拘縮のある方には
その方の状態に応じて、スポンジをカットして装着してもらっています。
(1)手の縦・横・斜めのアーチを崩さない
(2)その方の手の大きさ・筋緊張に合わせてスポンジを適宜変更できる
(3)人の手の筋緊張は常に変動しているので変動に合わせて
手が対象に合わせるのではなく、スポンジが人の手に合わせてくれる
という理由で、スポンジセラピーを絶対に推奨していますし
実際にたくさんの方に良い結果を出しています。
人の手の筋緊張は
どんなに強い拘縮のある方でも24時間同じ筋緊張ではなく
必ず変動があるものです。
その変動をスポンジの反発性を活かして増幅させるところに意義があります。
だから、スポンジを外しても、手指が伸展・開排肢位を保つことができるのです。
よくある市販品やタオルやガーゼを巻いて握ってもらっても
大抵、外すとキューっと一気に握り込んでしまうでしょう?
スポンジであれば、適切に作成できればそんなことはまずありません。
筋緊張の変動を生かすということは、当然、前提として
臥床時・離床時に適切なポジショニングが設定できることは必須となります。
このスポンジセラピーの良いところは
spasticityだけでなくrigidityへも対応可能で
人の手によるリラクゼーションの手間を省略して
関節そのものを動かしたり、その次の展開へと結びつける時間を確保できるところにあります。
問題は
対応するセラピストが
1)適切な反発力のあるスポンジを選択できるか
2)適切なスポンジの形と大きさを選択できるか
というところにあります。
スポンジセラピーで良い結果が出ない時には
まず、自身の選択と対応の適・不適について確認していただきたいと思います。
決して、手指だけを見て過剰な大きさ・過剰な反発性で作らないでいただきたいと思います。
末梢を過剰に外的に見た目だけ伸長させれば近位部の過剰収縮を招きます。
既に説明したように、大腿四頭筋や縫工筋などポジショニングのクッションと
全く同じことが違うカタチで起こっているのです。
修正・改善するのではなくて、援助するという観点に立って
手関節や肘、肩関節に負担をかけないように作成してください。
また、手指の拘縮が長期にわたっていた方の場合に
皮膚も短縮していることが往々にしてありますので
過剰な伸展位の設定は皮膚を傷つける恐れがあります。
私は、通常、小さめ・弱めに作って上肢全体の状態を確認しながら
必要であれば2個目、3個目で完成版を作成するようにしています。
適切に、スポンジの大きさ・形・反発性を選択することができれば
最初は嫌がって拒否をしていても
拒否の程度が装着時のみに限定されたり
拒否がなくなったり
痛みを訴えることもなくなったりしてきます。
たぶん、「スポンジを装着すると楽だ」ということが実感できているのだと思います。
拘縮が強く、筋緊張が亢進している方ほど
スポンジセラピーによって状態が劇的に良くなりますから
他職種への説明の説得力があります。
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