それでは
表現を好む・工夫を楽しめる方に対して
「塗り絵」と「ちぎり絵」をどのように使い分けているのかをご説明します。
まず最初に、両者の違いを分析します。
塗り絵は、色鉛筆を用いての表現活動
ちぎり絵は、和紙を貼付しての表現活動
なので、塗り絵の方が身体運動感覚の作用もフィードバックもより直接的です。
任意の面積を色で埋めるという点では、「塗り絵」も「ちぎり絵」も同様ですが
色の埋め方に関して
「塗り絵」は該当面積を自身で塗る
「ちぎり絵」は該当面積を和紙に託せる
という違いがあります。
この点を踏まえて
近時記憶障害がより重度の方には「塗り絵」を勧めたり
「する」ことに不安が強い方には「ちぎり絵」を勧めています。
近時記憶障害が重度の方には
身体運動感覚のインプット・アウトプットの繰り返しが助けになって
作業遂行を続けやすくなります。
「する」ことに不安が強い方は
過去〜現在の暮らしにおいて失敗体験や困惑体験を積み重ねてきて
自身の行動によってまた失敗してしまうのではないかと予期不安が募りやすいので
その不安感を和らげるためにも
身体運動感覚があまり直接的でない「ちぎり絵」を勧めています。
遂行機能障害を確認するために考えた方法
も紹介してありますが
認知症のある方の中には
鉛筆をもつ、自身の名前を書くということですら
不安が強くなってしまう方もいます。
シールを貼るという、自身の関与をより間接的な表明方法にしたのも
少しでも不安感を和らげる意味があります。
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