歩き出そうとする方への対応:事前察知

 

 

つかまって立つことはできるけど
ひとりで転ばずに歩くことは難しい方が
歩き出そうとするケースはとても多いと思います。

歩き出してから
転ばないように対応しようとすると
どうしても後手に回ってしまって間に合わないことも起こり得ます。

歩く前に
立ち上がる前に
事前に察知できるように気をつけています。

私は今は精神科作業療法という
2時間の集団でのリハも行なっています。
私と交代制の看護介護スタッフ1名の2人体制で
15〜20人の重度の認知症のある方を対象にしています。
(今は、covid-19対策で少し人数を絞っています)
転倒リスクのある方は常時4〜5人はいます。
その他にいろいろなものを触ってしまったり
歩行は安定していても椅子の上に立ち上がったり机の上に椅子を乗せたり
という危険行為をしてしまう方もいますので
安全確保にはとても気をつけています。

立ち上がる時には
その方なりの行動パターンがあります。
フットプレートに足を乗せたまま立ち上がってしまう方もいれば
足を下ろしてフットプレートを両方とも横に上げ終わってから立つ方もいれば
膝掛けをきちんと畳んでから足を横にずらして立とうとする方もいれば
足をさすったり横に動かしたりしてから立とうとする方もいます。

その方固有の事前行動を観察したら
「どうしましたか?」
「もしかしてトイレに行きますか?」
「おしっこ?」
とその方の言語理解力を踏まえて尋ねます。

  排泄以外の訴えだった場合には、その訴えに応じて対応します。
  この記事の本意は歩行不安定な方が立ち上がって転倒しないように
  安全に対応するためにはどうしたら良いかというところにありますので
  記載は省きます。

  ここはとても大切なところです。
  何を聞かれたのか分からなくて「違う」「なんでもない」って
  言われてしまい、失禁してしまったり、即応できずに歩かれてしまったり
  ということは起こり得ます。

お年寄りは
尿便意を感じてから
言語化するまでに時間がかかる方もいますし
こちらも即応できるとは限らないので
対応が遅くなると誘導が間に合わずに
パンツを下げたら途端に排尿・衣類も周囲も尿汚染
ということもあるあるなので
事前察知することは安全対策だけでなく実際的に大切なことでもあります。

多分、看護介護のベテランさんや
日々のケアに真摯に向き合っている人は
言葉にしなくても自然にしていたり
昔から言われてもいることだと思います。

排泄行動のサインを把握する。

立ち上がりが排泄行動のサインであることも多いので
さらにその前、立ち上がる前の事前行動を観察し把握し対応する
ことが大切です。
 
場合によっては自分1人で精神科作業療法を実施することもよくあるので
転倒リスクを下げるために事前察知は切実に必要ですし
逆に、その方のパターンがわかっていれば
必ず膝掛けを貸し出すようにして時間が稼げるようにする対応をしたり
あるいは、フットプレートを踏んだまま立ち上がることがないように
敢えて、フットプレートはあげておく、あるいは外側に開いておき
立ち上がりの安全性は確保して、あとは座席配置に工夫して
仮に数本歩いてしまっても安全な環境設定をしておきます。

このような工夫は
1人で多数の対象者を見守る状況にある
見守りだけでなく他のことも同時並行的に行わなければならない場合には
必須の工夫だと考えています。

 



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