古くて新しい作業療法士の課題「目標設定」について書いていきます。
残念なことに、いまだに
「目標」と「目的」と「方針」と「治療内容」を混同したまま、
目標ではないものを目標として設定している作業療法士が少なくないという現実があります。
経験年数が浅いうちには
「目標ってこれでいいんだろうか?」
「なんだか目標じゃない気がするけど」
と内心の葛藤を抱え、先輩に質問しても的確な答えが返ってこなくて
どう修正したら目標を目標として設定できるのか
わからないことに不安な気持ちを抱いているのではないでしょうか。
そのうちに、
目標設定を真剣に考えなくても、
業務は回っているし、
誰からもツッコミを受けないから
「なんちゃって目標」でもまぁいいか。と
心の底では不安な気持ちを抱えながらも
気がつかないフリをしてなんとなくの目標を立てている
。。。ということは、ありませんか?
実習生を引き受けて質問されても
「頭でわかっていても言葉にするのは難しいから気にしなくていいよ」
「そのうちわかるようになるよ」
と内心の居心地の悪さを隠しながらも、そんな風にしか言えなくて
月日が経つと居心地の悪さも感じなくなっていたりして。。。
目標設定が難しいのは
実は私たちが「目標とは何なのか」という概念を
明確に教えてもらったことがないからなんです。
何が目標で、何が目標ではないのか。
2014年から
作業療法総合研究所さん主催の研修会で
目標設定の講演をしてきました。
「良い目標が設定できる作業療法士になろう」
「対象者の方と協働して良い目標が設定できる作業療法士になろう」
「良い作業療法士になるために〜目標を目標として設定できる」
2021度は
JA長野厚生連作業療法士研究会研修会さん主催でも
目標設定について講演し、大変ご好評をいただきました。
「なんちゃって目標」だって臨床をちゃんとやってれば関係ないよ。
と思うかもしれませんが、それはあり得ません。
目標を目標というカタチできちんと設定できることが、臨床の質を担保することにつながるのです。
それでは質問です。
次の中に目標はいくつあるでしょうか?
そして目標でないものがあるとしたら、それは何故でしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ ・
・ 1)整形外科受診を勧める ・
・ 2)痛みの有無の確認と痛みの改善を図る ・
・ 3)バランスの強化 ・
・ 4)立位での姿勢反応の強化 ・
・ 5)全身の筋力強化 ・
・ ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もしも
目標とは何ぞやということが理解できていれば
迷うこともなく即答できるはずです。
この質問に対して
迷いがあったというのであれば
それは、何が目標で何が目標でないかという概念の理解が曖昧だということを示しています。
それは、今まで明確に教えてもらえる機会がなかったということなので
これから、明確に学ぶ機会を作れば良いだけです。
ちなみに
上の質問の答えは「ゼロ」です。
解説は、このコンテンツを読めば納得がいくはずです。
ぜひ、「目標の3要件」「良い目標の3要件」「目標設定の練習法」へお立ち寄りください。
関連して
目標設定に関する記事を複数書いています。
よろしかったらこちらもご参照ください。
「目標を目標というカタチで設定する」
「目標設定は技術である」
「見通しが立たないからこそ目標を設定する」
「必要なのは過程における自己承認」
「なんちゃって目標から脱却を」
「OTどこでズレたのか:目標設定」
「『普遍性という名の幻想』を読んで」
「漫然としたリハ」
「卒後要請の課題」
「言葉にとらわれない」
「概念の本質を伝える・理解する」
「作業療法は触媒2」
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