私が集団を運営する時には
並行集団を活用しています。
同じ場所、時間を共有するけれど
人によって何をするかは違う。。。という集団です。
課題集団(全員が同じことをする)を用いる時には
参加形態に許容性のある体操や音楽鑑賞を行います。
先の記事 「オススメ音楽鑑賞の進行方向」 でご紹介したように
最初に音楽鑑賞を行います。
音楽鑑賞の導入では集団凝集性を高めることに注意しています。
音楽鑑賞の後半には、鑑賞しながら水分補給をしていただきます。
この時に私は進行もしながら飲み物の準備や配膳・下膳も行っています。
お一人お一人のペースで水分摂取できるのはメリットでもあるのですが、
どうしても集団凝集性が下がってしまうので
水分摂取後にもう一度集団凝集性を高めるために全員で体操をします。
手続き記憶を活用できるように
ラジオ体操第一をみんなの体操を行っています。
その後、後半は鑑賞とActivityを並行して行います。
Activityは個人ごとに提供しています。
(書字やスクラッチアート、塗り絵、ちぎり絵、毛糸モップ、指編み等)
16名の集団に対して
音楽鑑賞とActivityを並行して提供し
Activityも個人ごとに提供するという二重の並行集団を作っています。
(今は8名の方がActivityを実施しています)
16名の中には帰宅要求で落ち着かない方や
注意散漫な方や訴えの多い方もいますし
立ち上がって歩き出したら転倒のリスクのある方もいますし
褥瘡予防のために途中で除圧を目的とした介助立位の機会を設けたりと
常に同時並行課題を要求されるので大変ではありますが
だいぶ鍛えられてきました (^^;
最後は今日の流れを振り返った後に
締めくくりとしていつも同じ曲を流しています。
毎回同じ曲を流すことで「終わり」を印象付けることもできますし
スーパーでレジが立て込んできたら
ビートルズの「HELP」が流れるのと同じように
看護介護職員へ「終わったからお迎えお願い」という合図にもなっています。
個人ごとに異なるActivityを提供するという並行集団を
円滑に運営するためのポイントは、準備をきちんと行うということです。
巷では「段取り8割」ってよく言いますけど
まさしくその通りで
その方が遂行しやすいように
Activityの遂行方法を言葉ではなく場面に語らせる
ということです。
(詳細はあちこちで書いていますので検索してください)
人によっては、HDS-R3点で1分前のことも忘れてしまうような方でも
遂行方法を場面に語らせるように準備をしておけば
介助や声掛けをせずとも一人でActivityに取り組めることも少なくありません。
近時記憶障害が重度でも
手続き記憶の活用や遂行機能障害を的確に評価することによって
場面設定の工夫の余地は生まれます。
このあたりは、老健に勤務していた時に身体面認知面それぞれの
自主トレ立案を頑張ってきたことが下地となって役立っていると感じています。
脱線してしまったので
話を元に戻して。。。(^^;
並行集団でActivityを行えば
他人と比べる、比べられることがないので
実施に際して不安感が少しは減るのも良いところじゃないかな
と感じています。
そもそも、並行集団って社会そのものなんですよね。
いろいろな人がいる。
いろいろなことをしている。
ひととき、同じ時間と同じ場を共有している
Activityを導入するときに
多くの方がおっしゃいます。
「難しいことはできない」「私はバカだから」「不器用だから」
そう感じるに足るだけの失敗体験を積み重ねてきているのです。
だからこそ、Activityの仕上がりの綺麗さには留意していますし
ましてや、幼稚な課題を提供することは決してありません。
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